水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ24)

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『アブナイ男』シルク×恋人(mem) ページ24

No side

とある日の撮影後、車での移動中のお話。

今日は外での撮影で、メンバーはシルク、マサイ、ンダホ、モトキ、Aの5人。ンダホの車には荷物を大量に積んでいたため、急遽Aの車も使うことになった。

シ「Aの車乗るの絶対俺な!!」

そう頑なに譲らなかった、Aの彼氏であるシルクを助手席に乗せ、Aはハンドルを操作していた。また、もう1台のンダホの車には、それ以外の3人が乗っている。

『今日楽しかったね』

シ「あぁw 過去一で笑ったわw」

Aの車ではそんな会話が繰り広げられていた。そのすぐ後ろを走るンダホ号でもまた同じように。

『ねぇ、今日晩ご飯何がいい？昨日買い物もしたし、大体のものなら作れるけど』

シ「んー、じゃあお前食べよーかな」

『は!?いや、今運転中だからそういう冗談やめて！』

シ「本気だよ、って言ったら？」

『もう茶化さないで！』

こういう話に弱いAは、落ち着いて運転するためにあまりシルクを視界に入れないようにした。対して彼は、そんな彼女の反応を見るのがとても好きらしく、豪快に笑った。

シ「いーじゃん、たまにはさ。俺だってAに優しいだけの男じゃないんだよ？」

『…だとしても、今はそういう話ダメ……！』

シ「俺はいつでもお前に触れてたいと思ってるんだけどな」

普段は言わない甘い台詞を囁くように吐いて、シルクは自分の右手をAの太腿に伸ばした。

『だ、だから…！私今運転中……！』

シルクの手を必死に止めようとするAの顔は真っ赤で、それが余計にシルクの気持ちを昂らせる。

シ「本気でやめてほしいならそんな顔すんなや…！我慢きかなくなる……」

自身の頭をガシガシと掻いて、頭を抱えるシルク。

シ「マジ俺運転中襲いそう……」

二人の間には無言が続く。信号で車がガタンと止まり、身体が揺れる。

＿＿＿しまった、この信号めっちゃ長い…。

Aはそんなことを考えながら、赤が青に変わるのを待つ。この沈黙の時間がなんだかとてももどかしい。

シ「な、A」

静寂の中でAの耳に届いた声。隣からの声だと理解するのに数秒かかり、振り向くと、

『＿＿＿＿＿＿＿』

気づいた時には彼の唇が柔らかく触れていた。

シ「我慢できなかった」

やがて、信号は青に変わった。

因みに、後ろでその光景をシルエットのみで見ていた3人は、満場一致で見なかったことにしよう、という結論に至ったらしい。