9h ページ9
「なんで僕の隣に来てくれたの？」
お酒が回っているのかどうなのか。
絶えず笑顔のジミンさん。
「お礼を言いたかったからです。」
私もつられてへらっと笑う。
「…それだけ？ㅋ」
「それだけです。
しいて言えば、目が合ったのもあります。
どこに座ろうか悩んでいたのでㅋ」
ジミンさんは少し驚いた表情をしたあと、
とても楽しそうに手を叩いて笑った。
「僕、そんな見てた？」
「見てましたよ！
こっちを見ながらすごくニコニコしてました。」
あんなに見ていたのに、
無自覚だったの？
やはりかなり酔いが回っているのかもしれない。
「今日、本番前に声をかけてくださって
ありがとうございました。
すごく嬉しかったですし、
おかげで最高によくできた気がしました。」
あのパフォーマンスを出来たのは、
間違いなくジミンさんのおかげ。
あの時声をかけてくださらなかったら、
今日も納得ができないパフォーマンスだったと
落ち込んでいたに違いない。
満足げにんふふ、と笑うジミンさん。
「Black Eyesのパフォーマンス見てたよ。
本当にすごかった。久しぶりに鳥肌がたった。」
ジミンさんに褒めてもらえるなんて。
「ありがとうございます！！
あのパフォーマンスができたのは
ジミンさんのおかげです。
ジミンさんのかけてくださった言葉が、
すごく勇気をくれて。
今までのどのステージより理想の私に近かったです。」
あのステージを思い出して
口元が緩む。
「僕たちのステージも見てくれてたでしょ？
どうだった？」
「こんなアイドルになりたいと思いました。
ダンスのキレだとか、
安定した歌唱力はもちろんですが、
それ以上にお客さんが喜んでくれるように
考えてらっしゃるんだなって。
きっと今までの私はそれが欠けていたから。
失敗しないようにってそればかり考えていたから。」
あまり自分の意見を言わないためか、
少し緊張した。
何も発しないジミンさんを恐る恐る覗くと、
優しい顔でこちらを見ていた。
「……何か言ってくださいよ。」
思わず催促をすると、
「ごめんね、正直でかわいいなってㅋㅋ」
「からかわないでください！」
やはりジミンさんは酔っているようだ。
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作者名：わらし | 作成日時：2021年7月9日 0時
