15h ページ15
仕事はスムーズに進んでいた。
今回メンバーに披露した曲は、
作曲から作詞まで私が手がけたもの。
初めての試みだった。
以前からユナと作曲することもあったが、
一人でというのは初めてだったし、
なかなかうまくいかず苦戦ばかりしていた。
それもあってか、
メンバーが称賛してくれたことが
とても嬉しかった。
.
新曲の You&I は、
恋愛ソングだ。
Black Eyesは攻撃的な曲が多い。
しかし、今回は少し違う。
女の子が自分の気持ちに気付いて臆病になるも、
彼を勝ち取るために強気でアタックする曲。
普段の 強い私 だけでなく、
そこに恋愛特有の臆病さも兼ね備えている。
それだけにダンスも格段とレベルが上がった。
最初は繊細な心理を表す、ゆったりしたダンス。
そこから後半にかけて、
急激に難易度が上がる。
歌いながら踊るには、正直きつい。
振付を教わるが、
頭に体がついていかず、
メンバーも苦戦しているようだった。
「曲を聴いた時はいいなって思ったけど、
ダンスがきつい〜！！」
休憩、と言われた瞬間ユナは倒れ込んだ。
「私達、アイドル界でも
結構難しいの踊ってきたじゃない？
でも今日のが1番ね。」
ソユンオンニも息が上がっている。
「まさかこんな厳しい振付とは思わなかった…」
「それだけこの曲を気に入って、
気合い入れて振付してくださったのよきっと。」
思わずこぼした言葉に、
ソユンオンニが返事をする。
気に入ってくださったのなら、
頑張らないと。
「よーし！がんばるぞー！！」
気分が良くなって気合を入れ直した私は、
カトクを見ることなく練習に戻った。
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作者名：わらし | 作成日時：2021年7月9日 0時
