幽霊族と限界社畜 (ページ9)

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映画ページ9

貴方『け、結構人多い…というかゲゲ郎さん見られすぎじゃない？』

ゲゲ「同じこと思っておる。そんなに見ても面白いことはないのだがな…」

映画館に入ると何人かの人がゲゲ郎さんを見てひそひそと話始める。確かに彼はイケメンだがそんなに見るほどのことなのだろうか。

「やばいゲゲ郎さんに似てない？」

「似てる！コスプレかな？でも似すぎ！」

「映画館でコスプレはないでしょwwでもかっこいい〜」

貴方『ゲゲ郎？』

ゲゲ「ん？なんじゃ？」

貴方『いやなんでもない』

ゲゲ「？」

残り少なかったチケットを二枚買って上映場所へと移動する。照明が消え暗くなると映像が始まった。

ゲゲ「みず…き…？」

貴方『え？』

隣に座っているゲゲ郎を見てみると片方しか見えていない目から涙が零れていた。映像に視線を戻すとそこには水木と呼ばれる少年と楽しそうに話すゲゲ郎の姿があった。

貴方『どういうこと？なんでゲゲ郎さんが映画に…』ﾎﾞｿｯ

ゲゲ「静奈出よう」

貴方『え？でも…』

ゲゲ「早う」

貴方『ちょ、ちょっと！』

ゲゲ郎に引っ張られ外へと連れていかれる。彼は一度もこちらを見ることなくどんどん進んでいく。

貴方『げ、ゲゲ郎さんちょっと待って…は、はやいって…ねぇってば…』

ゲゲ「・・・」

貴方『あっ！』

ゲゲ「！！」

ゲゲ郎の足の速さに追いつけず躓いてしまう静奈。転けそうになるとゲゲ郎はそれに気づき受け止める。でもこちらを見ようとしない。

貴方『一旦帰ろう？頭が追いつかないんでしょ？』

ゲゲ「そう…じゃな…」

さっきとは異なり静奈がゲゲ郎を引っ張って家へと向かう。彼はいつもよりゆっくりで重い足どりだ。

貴方『帰ったら整理しよう。私もこのことちゃんと調べたいしね』

ゲゲ「ああ…」

貴方『ちょっと聞いてる？』

ゲゲ「ああ…」

貴方『聞いてないわよね？』

ゲゲ「ああ…」

聞いているのか聞いていないのかゲゲ郎は「ああ…」としか言わなくなってしまった。初めてあった時と違う態度に彼女も為す術なくため息しか出なかった。

貴方『はぁ…(先が思いやられるよ)』