もっと頼ってよ。 (ページ13)

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第十二話ページ13

？「A」

放課後、学校を出ようとすると後ろから声をかけられた。遠くから野球部とサッカー部の掛け声が聞こえてくる。

吹奏楽部も練習を始めたんか、楽器の音がばらばらにあわさって聞こえてくる。

そんな中声をかけられ後ろを振り返ると、脇先生が少し真剣な顔つきでそこに立っとる。

『...先生。...あ、昨日はありがとうございました。で、あと、ごめんなさい』

脇先生に頭を下げると、脇先生の声が聞こえてくる。

脇「いや、謝るんはこっちや。なんも知らんと、悪かった」

『いや、別に』

脇「...Aさんの家庭事情なんて知らんかったけど、いつも家に一人なんやろうなぁってことは伝わったんよ、昨日...」

伝えるつもりはサラサラなかったっちゃんけど。

そう口に出そうとして、直前で止めた。

いつになく優しい顔で、微笑んでた。

『...なんや、別に同情もなにも求めとらんけど』

脇「分かっとーよ。...でもな、いや。なんでもない...頼ってや、自分が心細い時くらい」

何かを言いかけて、脇先生はやめた。

その次の言葉が気になった。あの後にはどんな言葉が続くんだろうって。

結局、何が言いたかったのか。それも聞けぬまま、脇先生は職員室に入っていった。

『...なんや、何がしたいん』

あの後の言葉より、あの優しい顔が頭から離れんかった。

思わず泣き出しそうになるのを堪え、学校を出た。