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「お待たせしました」
「ありがとうございま…え、Aさん？」
アイスティーを目の前に置いた店員さんはAさんでジェシーは知ってて俺を連れて来たみたいでニヤニヤしている。
「お久しぶりです」
「え、バイト？」
「バイトと言えばバイトですが、ここ実家が経営してて」
Aさんが振り返るとさっき俺らを案内してくれた店員さんがAさんの隣に並ぶ。
「どうも。娘がお世話になってます」
「え！お母さんだったの？俺てっきりお姉さんかと」
「やだー！そんなこと言ってもケーキしか出てこないわよ」
「あはは、ケーキ出てきちゃうんですか？」
特徴的なジェシーの笑い声が店内に響く。美味しそうなシフォンケーキが２つ俺らの前に本当に並んだ。
「俺まですみません。ありがとうございます」
「いえいえ…で？どっちがAの彼氏なの？」
「はい！俺です！ジェシーって言います！アメリカとのハーフでアイドルやってます」
立ち上がってお辞儀したジェシーに驚いているとAさんのお母さんはまさか本当に彼氏がいるとは思ってなかったみたいで俺以上に驚いていた。
「この間からお付き合いさせてもらってます」
「ええ！？あらあら、そうなの。そう、良かったわ」
「もういいでしょ！２人ともゆっくりしてってね」
涙目になったAさんのお母さんをAさんが背中を押してカウンターの奥へと連れて行ったのを見届けてアイスティーにストローをさす。
「なんか驚いてたみたいだけど」
「そりゃそうだよ。Aちゃんの想い人はずっと亡くなった彼だったんだから」
コーヒーを飲むジェシーも様になっているな。悔しいから言ってやらないけど。頂いたケーキも美味しくてお店の雰囲気も良いからこっそり通おうかな、なんて。ジェシーにバレたら怒られそうだな。
「で、なんで俺を連れて来たの？」
「なんとなく」
「は？」
「嘘だよ。俺にとって高地は特別なの。高地だから何でも話せる。俺もリラックス出来るかなって思って」
「ふーん？」
「ジェシーくん良い子そうね。一緒に来た子はなんか見覚えがあるような」
「ああ、私が準レギュラー番組で一緒だった高地くんだよ」
「高地くん！？ママ好きなのよ」
「そうなの？」
「そうよ！Aが出てない時も録画して見てるんだから。可愛いなって思ってたけど本物はやっぱり何倍も格好いいわね」
まさかジェシーくんより高地くんが来たことに喜んでたなんて言えないから当分の間は秘密にしておこう。
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作者名：いか | 作成日時：2023年9月23日 19時
