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「ずっと１人でいいの？」
大我くんの優しい声だけど厳しい問いに、前までの私ならそれでいいと答えていただろう。彼が居なくなってからずっと１人だった。
こんな私を好きだと告白してくれた人はジェシーくん以外にも居た。嬉しく思うこともあった。それでも私は彼との思い出にすがっていたくて無惨にもバッサリと断ってきた。
でも、
「ひとりぼっちは、もう嫌だな」
寂しさは私の思いと裏腹にどんどん、どんどんと蓄積されて、独りでいることは限界だと気付いた。
「ジェシーに会いたい？」
「会えるなら、会いたい。だから待ってるの」
「待つ？」
「ジェシーくんがまた、私と出会ってみせるからって言ってくれたから……信じてみようって思って」
あの日、ジェシーくんと話してから彼の所に行ってしまおうと考えていた。でもそしたらジェシーくんと本当に会えなくなる。そう考えて初めて自分の気持ちに漸く気付けた。
「…バカじゃん」
「そうだね」
「俺なら今すぐにでもジェシーに会わせてやれるよ？」
「それじゃあ意味ないもん」
「めんどくさ。別にAから会いに行ってもいいじゃん。散々ジェシーのこと振り回して、まだ待つとか言うわけ？」
眉目秀麗で女の子みたいに可愛らしい見た目な大我くんだけど中身は意外と男らしい、といつも彼は言ってたっけ。言いたいことはスパっと言ってしまうのは大我くんの良いところだって褒めてたな。
「ねえ、聞いてる？言っとくけど俺はAより絶対的にジェシーの方が大事だから」
「う、うん？」
スマホを取り出した大我くんは誰かに電話を掛けてるようで相手が出るやいなや“迎えに来て”の一言。それなら私も帰ろうかと電車の時間を調べる為に検索画面を開いた。
「ほら、Aも行くよ」
「え？まだ電車の時間調べ…」
「送って行くに決まってんじゃん」
いつの間にか大我くんがお会計をしてくれていたようでそのまま店を出ようとする。お金は、と言うと先輩には奢られとけばいい、と言って背中を見せる大我くんに続いて外に出た。
少しして目の前に停まった車の後部座席のドアを開けると乗って、と言われて車に乗った。
「大我、お前急に迎えに来いとか…え、Aさん！？」
「ジェシーの家まで」
「は？なんで？」
「ちょっと大我くん、」
「会いたいなら会えばいい。だから会いに行こう？」
「ああ、そういうこと？それじゃ出発するからシートベルトしてね」
ハザードを切って右ウインカーを出した高地くんに観念してシートベルトを締めた。
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作者名：いか | 作成日時：2023年9月23日 19時
