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今日の仕事は全部終わった。比較的早い時間から全員揃っての自由時間はいつぶりだろうか。ちょっと前までなら遊び行こうかとか盛り上がっていたけど、今日は京本の話の続きが気になるらしいジェシーが早々と帰り支度を始めた。
「で、話の続きは？聞かせてよ」
「さすがにここに居座る訳にはいかないから移動しようよ。俺の家でもいい？」
「うん。みんなはどうする？」
「久々にきょものママにも会いたいし、行こうかな」
「俺も。乗り掛かった船だし」
「慎太郎と北斗は？」
「俺は心配だから行くよ」
「中立の奴は多い方がいいでしょ、だから行く」
「じゃあ全員ね。それじゃ行こうか」
京本を先頭にマネージャーの車に乗り込む。みんなで京本の家に行くって言えば仲良しですね、って笑われる。仲良しなのは認めるけど、そんな和気藹々とした感じじゃないんだよな、今日は特に。
久々に訪れた京本の家は何度来ても慣れないくらいデカイ。政樹さんは仕事で居ないみたいだけど、京本の母上は突然訪問した俺らを優しく受け入れてくれた。
「あらあら、お夕飯これから作るけどみんな食べて行く？」
「え、いいんですか！？」
「おい慎太郎！すみません、お構い無く」
「せっかくみんなが来てくれたんだもの。大我のお部屋でゆっくり待っててね」
お邪魔します、と靴を揃えて京本の部屋に向かう。この部屋に足を踏み入れるのも随分久しぶりかもしれないが多趣味なのは健在のようだ。ローテーブルを囲うように座ってみんなの視線が京本へと集まる。
「さてと、何から話そうかな」
うーん、と考え込む京本はまたさっきの写真を出してテーブルの上に置いた。
「俺が編入する前の学校で親友だったのが彼、俺とAは彼の紹介で知り合ったんだ」
「それはAちゃんが女優さんになってから？」
「んーと、まだだったかな？でも割りとすぐにスカウトされてデビューまでも早かったと思う」
若手女優さんて恋愛禁止な事務所もあるって聞くけど、Aさんのところはそうじゃなかったのかな。高校生からずっと同じ人を好きで居られるって凄いよな。もうすぐ干支一周しちゃうくらいでしょ？
「でも、20歳の誕生日を間近に彼が急逝しちゃったんだ」
「え、なんで？」
「事故に巻き込まれて…Aが初めて舞台で大きな役を貰えたからそれ観に行くんだ、って行く途中だった」
「そんな…」
「Aが本番を終えて病院に着いた時はまだ意識があって彼が言ったんだって“これも運命かな”って。それがAが聞いた最期の言葉」
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作者名：いか | 作成日時：2023年9月23日 19時
