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「おは…え、なにごと？」
「わかんない、ずっとこんな感じ」
最近はジェシーの元気がなくて静かだった俺らの楽屋。だけど今日はどこかピリピリした雰囲気がして、なんだか嫌な感じで近くに居た慎太郎に聞けば来たときにはこうだったらしい。
ジェシーはいつも通りぼけっとスマホを眺めてて、高地は機嫌悪いですって顔に書いてあるみたいで、京本は大好きな探偵漫画を開いているが話し掛けるなオーラをまとっている。
となれば、高地と京本が喧嘩でもした、というところだろうが彼らはお互いをお互いに尊重してるから故に当たりが強い部分もあるが喧嘩まではいかない。そんな彼らがここまで目に見えてピリピリとした空気を発するのはきっと…
「共通点はあの人か」
「あの人って？」
AA、ジェシーが恋してる相手、高地とは番組で一緒になることがあり、京本とは何かしらの繋がりがあるらしい人。俺が彼女と共演した時はまだジェシーが好意を寄せているとはわからなかったけど、普通の子。本当に普通の女の子って感じで、ジェシーがなぜそこまで彼女にこだわるかは全くわからない。
突出した何かがあったのだろうか。
「おっはよー！ジェシーさっきAちゃんに会ったよ」
「え！？」
どこで、なんで、と樹に詰め寄るジェシーはさっきまでと違って目がキラキラしている。そんなジェシーとは反対に京本は眉間にシワが寄ってるし、高地はジェシーを心配そうに見ているだけ。
「ちっちゃい花束持って歩いてた」
「花束？」
「うん。話し掛けようと思ったらすぐ行っちゃった」
「貰い物かな？」
「んや？花屋から出てきたからAちゃんが買ったんでしょ、多分」
「友達へのプレゼントかな？」
「彼氏宛てでしょ」
漫画から目を離さず京本が口を開いた。みんなの視線が京本に集まっても京本はぺら、と漫画を捲るだけ。
「へ？彼氏？」
「彼氏にあげる為の花束だよ」
「ちょっと大我、何言ってんの？」
「居ない、なんて誰が言ったの？ジェシーちゃんと確認した？」
「え、だって…え？」
困惑しているのはジェシーだけじゃない、俺もだ。でも心の奥で彼女が過去に“恋愛に興味がない”と言ったのは相手が既に居たからだと合点がいく部分もある。
「おい大我、ジェシーの気持ちも考えろよ」
「は？俺は最初から反対してたじゃん」
「だからって、」
「ストップ！ちょっと一旦落ち着こうよ」
慎太郎の一言で静まる楽屋。いつにない殺伐とした雰囲気に今すぐにでも逃げ出したくなった。
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作者名：いか | 作成日時：2023年9月23日 19時
