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『どうだった！？』
「あー…なんか忙しいみたいで話す時間無くて」
『そっか。でも仕事に来てるなら元気ってことだよね？』
「うん、元気そうだったよ」
仕事が終わってマネージャーの車を待つ間にジェシーに電話を掛ければワンコールで出た。あまりの落ち込みように会ったら話聞いてみるって言ったのは自分だけど、良い収穫は無かった。そのまま伝えたら更に落ち込むのは目に見えているからちょっとだけ嘘をついた。
「じゃあ迎え来たから切るよ」
小さなため息をついてマネージャーの車に乗り込む。
大我がジェシーの恋に反対してた理由は単に昔からの知り合い、だけじゃない気がするんだよな。じゃあなんだ？元恋人、ではなさそうだし、歳が違うから同級生でもないよな。
「絶対って言い切っていたのも気になる…」
元々ジェシーの告白は何度となく断っていたし、連絡も数回に１回返信がある程度だったし、本当にジェシーに対して興味は全く無いってことなのかな。
「うーん…」
「…高地？さっきから何考えてんの？」
「だからジェシーの…って大我!?いつからそこに」
「高地が乗る前から居たし。それよりジェシーがどうかしたの？」
「あ、いや、ジェシーがどうやったら元気になるかなって」
「焼き肉でも連れて行く？」
「大我の奢りなら」
「やだよ。っていうか仕事はしてるんだし、別に良くない？このままでも」
「良くない。ジェシーが元気ないと俺らもつまんないじゃん」
覇気のないギャグを見ても笑えないし、気遣い屋の慎太郎も一緒になって元気ないから最近の６人での仕事は前に比べたらすごく静かで、なんとなく寂しい。
だから俺が何とかしてやりたい、って思っての今日だったのに…
「大我とAさん、どういう知り合いなの？」
「ん？俺知り合いって話したっけ？」
「Aさんに聞いた。昔からの知り合いだって。ついでにジェシーの連絡先消したって伝えてって言われたけど」
「ああ、そう」
「何か知ってるんだろ？だからジェシーにもAさんにも心ないこと言えるんだ」
「心ないこと、ね。それはA自身のことだよ。あいつには心がない」
「は？どういう意味だよ」
「そのまんま。情がない、とも言えるかな。人との繋がりを求めていない。このまま一生独りかもね」
「なんで？なんで大我はAさんのことそんな風に言えるの？」
「なんで、なんて聞いてどうするの？ジェシーに言うの？お前の恋は絶対叶わないよ、って」
いつになく冷めた大我の瞳から視線が離せなかった。
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作者名：いか | 作成日時：2023年9月23日 19時
