57 ページ10
「おはよう」
「おはよう。今度こそ大丈夫？」
「あの後病院行って点滴してちゃんと休んだからね」
あれから週が変わって月曜日、大我くんが久しぶりに登校してきた。またノート見せて、と頼まれたから午前中にある授業分だけをとりあえず渡した。
「あ、そういえば大我くん体育祭のこと聞いた？」
「体育祭？ああ、そんな時期か」
「大我くんは借り物競走だよ」
「え？なんで？」
「優吾くんが１番楽そうなのにしてやる、って代わりに立候補してて」
「そっか…休もうと思ってたのにな」
「ん？」
「いや、Aは？何に出るの？」
「私はサエと一緒に障害物競走」
「ふーん。粉まみれになるやつだ」
「そうそう。ちょっと楽しみなんだよね」
体育祭の醍醐味みたいだし、と笑うと大我くんは苦笑い。普通女の子は嫌がるものでしょ？って言われたけど今しか出来ないことだし私なんかの顔が粉まみれになったところでなんら問題はない。
「お！大我復活？」
「おはよ、高地。色々ありがとね」
「どういたしまして。あ！大我のこと借り物競走にぶちこんだから」
「さっきAから聞いた。今年は休もうと思ってたのに」
「サボるなよ？」
「わかってるよ。っていうか俺忙しいんだから邪魔しないで」
ノートを優吾くんに見せて前に向きなおった大我くんは自分のに書き写している。
「Aおはよう」
「おはよう。今日は早いんだね」
「北斗に用があったから。小テストもあるし、ちょっとくらい復習しよっかなって」
「あ、忘れてた。大我くん！今日古文の小テストがあるんだ」
「マジで？じゃあAにノート返す。放課後また貸して」
「ちなみに範囲が20ページから23ページだって」
「うわ、結構あるじゃん」
とりあえず出そうなところを３人で確認して単語の意味などを復習する。授業を受けてないはずの大我くんの方が理解しているし教え方が上手いのはなんでだろう。
放課後になって鞄に教科書を入れて手提げ袋を持って立ち上がる。
「Aそろそろ行こ」
「うん！大我くん、これ」
「ありがとう。Aは今日部活ある日？」
「そうなの。終わったら机に入れておいてもいいし、明日でも大丈夫だから」
「うん。頑張ってね」
教室を出て家庭科室に向かうとまだ誰も来てなくて１番乗り。今日使う道具などを用意しながらサエと雑談タイム。
「京本くん元気になって良かったね」
「そうだね」
「で、その後どうなの？」
「うっ、実は……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
