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「あれ、優吾どこ行ってたの？」
「保健室。大我が具合悪いって言ったから」
「大我くん大丈夫なの？」
「うーん…どうだろうね」
めちゃくちゃ顔色悪かったし、と付け加えれば佐伯もAも心配そう。元々熱もあった、なんて言ったら大我に余計なこと言うなと怒られそうだからやめておく。
「次の時間ってまた修学旅行の話し合い？」
「ううん。体育祭の種目決めって言ってたよ」
「マジで？あー、大我どうすっかな」
さっきの感じだと教室に戻ってくる確率は低い。去年は男子の人数が多かったから個人種目には出ないで済んだけど、今年はどうだろうか。
「無難に借り物競走とかがいいかな」
「優吾くん借り物出たいの？」
「俺じゃなくて大我ね。簡単なやつに入れておこうかなって」
運動が苦手だからって言わなかったのは俺なりの優しさ。
「優吾はリレーと短距離決定でしょ」
「それだけでいいなら楽でいいな」
「優吾くん足速いんだ」
「サッカーで鍛えたからね」
「そっか。私はどうしようかな」
出来れば出たくないな、なんて言うから大我みたいだなってちょっと思ってしまった。
「Aは運動得意じゃない？」
「苦手ってほどじゃないけど、好きでもないかな。走るだけなら全然いいけど」
「でも何気にAマラソンとか上位だよね。去年も後ろからどんどん追い越してってさ」
「へー、意外」
「意外とは失礼じゃない？」
「あはは、ごめんごめん」
運動してる姿が想像出来なかったから次からの体育ではちょっとだけAの様子見てみようかな。
無事に大我を借り物競走の枠に入れることに成功し、俺もリレーと短距離に、佐伯とAは障害物競走に決まった。今日はもう授業がないからみんな続々と帰り支度を進めていく。
「高地、ちょっといいか？」
「はーい？」
「京本の帰り支度頼んでもいいか？終わったら保健室に鞄届けてやってくれ」
「わかりました」
頼んだぞー、と担任は教室を出て行く。取りに来れないほどなら迎えが来るのかな？ということは結構無理してたってことか。
心の中で失礼しまーす、と言いながら机の中から教科書など取り出す。俺なら置き勉するけど大我はしないタイプだから教科書とノートを鞄に詰め、重たくなった大我の鞄と軽い自分の鞄を持って立ち上がる。
Aに代わりに行ってもらおうかなとも思ったけど大我は弱ってる姿見られたくないだろうし、俺もそこまでお人好しじゃないから１人で保健室へ向かった。
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
