隣の席の苦労人２ (ページ45)

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「あれ？慎太郎は？」

「Aも居ないじゃん」

子どもから大人まで沢山の人が居るから誰かしらはぐれそうだとは思っていたけど、まさかの２人が居ない。

「とりあえず慎太郎に連絡、って…はあ？」

「どうした？」

「慎太郎から“例の待ち合わせ場所、高地だけ迎えに来てね”だってさ」

「Aも一緒なのかな」

「一緒だって。もー、なんで俺だけ」

「じゃあ慎太郎と白石さんは高地に任せてここから俺ら別行動ってことで」

「ジェシーと佐伯はわかるけど、北斗たちは待っててくれてもいいじゃん」

みんなで夏祭り行こうって集まったのに、と言ってるそばからジェシーたちは消え、大我も樹と北斗の腕を引こうとしている。

「ちょっと、大我！」

「はあ…お前さ、そろそろ現実と向き合えよ」

「なにが、」

「わかってるんでしょ？Aの気持ち、いつまで目を反らすつもりなわけ？」

「俺は別に、」

「ま、良い機会だしちゃんと話してみてよ。じゃあね」

話してって言われても、とりあえずこの間のこともあるし早いとこ待ち合わせ場所に向かうか。後はまあ、なんとかなるか。

後ろを振り返って高地が反対方向に歩き出したのを確認して３人で足を止めた。

「樹の計画は失敗だったね。白石さんと高地を２人きりにするってやつ」

「成功してんの！きょもが絡まなかったらね」

「京本？」

「慎太郎がAに謝りたいって言ったから高地じゃなくて慎太郎とAをわざとはぐれさせたの」

「ああ、そういうことか」

まあ慎太郎のことだから素直に謝ってるかは微妙だけど。とりあえず俺たちは別ルートから待ち合わせ場所に向かって様子を見ることにした。周りの騒々しさもあって声は聞こえないけど表情はちゃんと見える。

「さて、どうなるかな」

「俺は何も変わらないに賭ける」

「なんで？もう両思いって気付いているのに？」

「だって高地だよ？アイツきょもより頑固じゃん」

「ふーん、樹は俺のこと頑固だって思ってたんだ」

「え、や、違うよ？いや違うくもないんだけど、なんていうかほら！筋が通ってるっていうか」

「物は言いようだよね」

「北斗は俺の味方しろよ！」

あ、慎太郎が２人から離れた。ここにいるよってメッセージを送れば慎太郎が合流。ちゃんと言いたいことは言えた、と言ったからこの時間は無駄じゃなかった。

あとは高地が、Aが一歩を踏み出すだけ。