52 ページ5
「…ごめんね」
「なにが？高地くんが謝るようなことあった？」
「うん。ちょっと今日さ、俺、態度悪かったかなって」
大我に嫉妬したと言ったら白石さんは驚くかな、困るかな？でも、そんな表情が見たいわけじゃないから暫くは俺の中に仕舞っておこう。
「うーん、正直どうしたのかなって思った」
「あは、やっぱり？」
「このまま高地くん喋ってくれなくなるんじゃないかなって思ったら寂しかった」
「…へ？」
寂しい、ってそんなこと言われたら俺期待しちゃうよ？舞い上がっちゃうよ？
「や、あの…その、私サエ以外友達居ないし、せっかく高地くんと仲良くなれたのになって」
「俺と大我も白石さんとはもう友達、でしょ？」
「そ、うだよね！友達、だよね」
友達と話せなくなる、って考えてたなら少し踊りかけてた心を落ち着かせなきゃ。まだまだ先は長いかもしれないけど、お先真っ暗ってわけじゃなさそうだ。
「うん、だからさ…俺もAって呼んでいい？」
「っ、もちろん」
「良かった。ずっとタイミング失っててさ、俺だけ苗字呼びでちょっと距離感じちゃってたから」
大我が羨ましいなって思ってたなんて知らないだろうな。
「あ、じゃあ、えっと優吾、くん？って呼んでいいのかな」
「なに？A」
「うあ…なんか照れる」
好きな人に名前で呼ばれるって、ただそれだけなのにこんなにも嬉しいものなんだな。顔を真っ赤にして俯いてる姿さえも可愛らしい。
ちょっとだけ頑張ってみた甲斐があったかな。慎太郎たちに背中押されたし、樹と北斗にも……あ、
「そういや樹たちに何の相談してたの？」
「それは、言えない。でも、本当に意地悪されたりとかなくて真面目に話聞いてくれたし、解決してはないけど前には進めた、かな」
「そっか。俺もいつでも話聞くからさ、頼ってよ」
「うん、ありがとう」
「高地ってあざといよね」
「あれ天然？」
「白石ちゃんも真っ赤になっちゃって。可愛いね」
「お前ら見つかったら高地に怒られるぞ」
「とか言って北斗も気になるでしょ？」
「俺は白石さんが心配なだけ」
先回りして様子を伺っていたけど心配は杞憂に終わったみたい。少しだけ進めた関係に嬉しさ半分心配半分。
「大我もガチなんでしょ？」
「みたいね。京本の気持ちは白石さんに伝わってるよ」
「マジ？」
「あ、これは高地に内緒ね？」
「わかってるって。俺は口が堅い男よ？」
「慎太郎は心配してないけどジェシーがなあ」
「なーんでよ！大丈夫だって！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
