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慎太郎の言ったことが理解出来ない。Aと大我が別れたことに俺が関係してる？
Aが俺を好き？
大我が遠慮？
「なにそれ、そんなことあるわけねえだろ。樹も慎太郎に変なこと言うなよ」
「でも！俺は高地もきょもも心配で、」
「はあ、俺はお前らに心配されるほど落ち込んでもないし何もない。Aとは“友達”なんだから変なこと言うな」
半分本音、半分強がり。Aとは友達だから、俺は気持ちを伝えないって決めた。好き、だけど……せっかく仲良くなったのに仲違いしたくないから。
もし、もしも慎太郎が言ってることが本当なら嬉しい。
けれど、それなら俺が！とはなれない。大我が遠慮だなんて考えられないし。差し詰めAの気持ちを優先させたってところだろう。
「あれ、みんなどうしたの？」
「ジェシー、」
「白石さんも一緒とか珍しいね。てか大我は？」
しん、と静まり返る俺たちにジェシーも何がなんだかって感じで喧嘩？と少し慌てている。
「っ、ごめんね。私先に帰るね」
「え、ちょ、A！」
「本当に何があったの？高地は追いかけなくていいの？」
「…まあ、いま俺が行くのもあれだし」
樹がジェシーに何があったかを説明しているのを黙って聞く。慎太郎も俺もただ何も言わずに立ちすくむだけ。
「ふーん、なるほどね」
「元はと言えば俺が勝手に話しちゃったのがいけないから」
「でも慎太郎が怒りたくなる気持ちもわかるよ。大我のことはなんだったの、って俺も思うもん」
「そうだけど、でも！」
「高地を応援したい気持ちもわかるよ？でもさ、俺たちがそこまで踏み込むのは友達と言えど違うでしょ。それに白石さんは自分から高地に言いたかったんじゃないの？」
「…ごめん、高地」
「俺は別に、」
「本当に高地知らなかったの？」
「うん。普通に喧嘩でもして昨日は話さなかったのかなって思ってたし、今日は朝からいつも通りだったし、」
「明日白石ちゃんに謝るよ」
「俺は、俺は悪いことしたって思ってないから」
「慎太郎！」
走り出した慎太郎をジェシーが追いかける。大きなため息をついた樹と静かに帰り道を歩いた。
「慎太郎、」
「だって！だって、きょもも高地も大事な友達だから。大事な友達傷つけられて、そんなの悔しいじゃん」
「慎太郎は優しいね。高地の代わりに怒ってくれてるんだ」
「きょも幸せそうだった。高地は寂しそうだった。でも、でもね、きょもはもっともっと寂しそうだったの」
「うん」
「２人とも幸せになるのはやっぱり難しいのかな」
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
