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また１人の通学路に戻っただけなのに少し寂しく思ってしまうのは大我くんと一緒に居た時間が楽しかったからだろう。特に何を話してたってわけじゃない他愛ない話だけだったのに。
「A」
「え、大我くん？どうしたの？」
電車を降りてホームを歩いてたら横から呼ばれて立ち止まる。昨日から登下校はまた別でって言ってたのに。結局今日も一緒に登校することになった。
「ちょっと作戦会議しよ」
「はい？」
「応援はしないって言ったけど、このままじゃ良くないでしょ」
「優吾くんのこと？」
「そう。まずちゃんと俺らが付き合ってたのは期間があったことで、それは終わったってこと言わないと」
「そうだね」
「それでAが高地を好きってことも伝えないと」
「い、いきなり？」
「あいつは直接言わないと伝わらないよ？俺のこともあったからか頑なになってるし」
「いや、でも！優吾くんが私を好きとも限らないし」
「はあ、本気で言ってる？多少は自覚あったりしないの？」
自覚、と言われてもわからないものはわからない。自惚れそうになったことはあったけど、でも……
「Aは自分が思っている以上に魅力的だよ」
「そんなこと、」
「あるから。じゃなきゃ俺が好きになったりしないし、あんな狡い手を使うこともないから」
もっと自信持っていいんだよ、と大我くんは励ましてくれた。
でも、自信ってなんだろう？魅力なんて本当にあるの？
「おはよう。なに、仲直り出来たんだ」
「おはよう高地。仲直りっていうか、その、」
「朝から惚気話は胸やけするからやめてくんない？それより昨日の数学の宿題でわからないとこあってさ…」
朝１番に言う作戦は見事に打ち砕けた。それなら休み時間に、と思っても田中くんたちが訪ねてきて全敗。昼休みは昨日と同じくジェシーくんが来て言える雰囲気は皆無。
「放課後こそ、だね」
「俺早く帰らないとだから任せても大丈夫？」
「うん、頑張る」
周りに聞こえないようにコソコソと大我くんと話してるとジェシーくんが少し声を大きくする。
「ちょっと大我たち！高地が可哀想でしょ。イチャイチャしない！」
「イチャイチャなんてしてないよ。っていうかジェシー毎日ここ来るつもり？」
「ダメ？」
「ダメじゃないけど」
「いいよ大我。俺が明日から北斗のとこ行くから」
「良くない。高地はここで食べるの！」
「なんで大我に強制されなきゃなんねえの？」
「なんでって、なんでも！」
「はっ、子どもかよ」
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
