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早く言ってしまおうと思えば思うほど言えなくて放課後を迎えた。高地は帰ったしAも部活だし少し時間をずらせば人目に会わず帰れると思ったのに。
「ん？きょも今日は白石ちゃんと帰り一緒じゃないの？」
「やっぱりお前ら何かあったわけ？」
帰ったと思った樹と高地に校門を抜けたところでばったりと出くわしてしまった。
「朝から一緒に居なかったし、休み時間も昼休みも全然話さないし、Aも喧嘩じゃないって言ってたけど」
「え、Aから聞いてないの？」
「なにを？」
「いや、別に…」
俺と別れたって高地に言えば高地と両思いは確実なのに、ってAは高地がAを好きって知らないのか。
「言いたくないならいいけどさ、Aも元気無さそうだったし早いとこ仲直りしなよ」
「高地はチャンスとか思わないの？」
「はあ？なにバカなこと言ってんだよ。んなことで俺が喜ぶとでも思ってんの？」
「だって、俺とAが別れたら高地にはチャンスでしかないじゃん」
「仮にそうなったとして、Aが俺を好きになるとは限らないだろうが」
そんなことないのに、って高地もまたAが高地のことを好きなことを知らない。両片思いってやつ？いいな、そういうの。
「なに、Aと別れるつもり？」
「あー、えっと、」
「…別にお前らのことを俺がとやかく言う立場じゃないからどうしようが自由だけど、Aを泣かせるようなことはするなよ。俺は帰る、じゃあな」
つもりもなにも、もう別れたんだけどって伝える前に高地は帰ってしまった。残された樹も何か言いたげに視線をキョロキョロさせる。
「高地も心配してるんだと思うよ？」
「わかってるよ。あーあ、また言いそびれちゃった」
「なに？」
「Aとはもう終わったよって」
「ふーん、ん？マジで？」
「うん。まあ元々お試しって言ってたし、期間が終わったってだけだよ」
「そっか、そうだったね」
「あれ？俺樹に言ったっけ？」
「俺は北斗に聞いた。白石ちゃんとも話したから色々と知ってる。その、白石ちゃんが高地のことを、」
「そっか。もうさ、２人がさっさとくっついてくれたら俺も楽になれるのに」
「うーん、高地のあの感じじゃ一筋縄じゃいかないだろうね」
「だよね。まあ、俺の当面の目標は友達に戻ることだから。あいつらの応援なんてしてやんない」
「ふはっ、きょもらしいね」
明日からはちゃんと休み時間とかも頑張ろう。高地にもちゃんと話さなきゃ。
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
