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いつもより賑やかなお昼休みが楽しいと思っていたのはさっきまで。隣のクラスの子に優吾くんが呼ばれて数分で帰ってきたけど、心なしか元気なさそうにも見える。
「優吾どうだったの？」
「なにが？」
「お呼びだし！やっぱり告白？」
「あー…うん。断ったけどね」
断ったんだ、と少し嬉しく思ってしまう自分に気付く。毎日のように大我くんと過ごす通学時間を経てもやっぱり彼への気持ちがなくなることはなかった。
改めて気付いてしまった感情は、簡単には消えないどころか以前に比べて確実に大きくなっているようにも思える。
「A！そろそろグラウンド行くよ」
「あ、うん」
ジェシーくんとサエが並んで歩く後ろ姿を見ながら特に喋るわけでもなく３人で歩く。楽しそうな２人が凄く羨ましくて遠い存在に思えてくる。
午後の部もいよいよラストのリレー。アンカーの２人前の位置にスタンバイするのは優吾くん、それに松村くんと森本くんも。リレーに出ない田中くんとジェシーくんも一緒に５人でまとまって見えやすい前を陣取った。
「あちゃー、みんな被ってんのか」
「誰応援するか迷っちゃうね」
「え、ジェシーは慎太郎じゃないの？」
「チームメイトだから慎太郎も応援してるけど、でも北斗も高地も頑張ってほしいじゃん」
どうしよう、と話すジェシーくんにサエが全員頑張れでいいじゃん、と笑う。相も変わらす賑やかな周りだけど、さっきから大我くんは何も喋らない。体調が悪いのか問うと大丈夫の一言だけ返ってくる。
午前中よりも日差しの強くなった太陽に負けてしまいそう。
「お！始まった！」
「がんばれー！」
バトンが次々と繋がれていく。優吾くんたち３人はほぼ同時にバトンを受け取り走り出す。
「北斗行け！越せるぞ！」
「慎太郎負けるな！高地も頑張れ！」
私も声を掛けなきゃ、と少し前のめりになる。
「優吾くん！頑張れ！」
目の前を通り過ぎた優吾くんはニヤリと笑って加速する。松村くんたちを振り切って１番でバトンを渡した。
「やっぱり高地は速いね」
「だな、北斗も惜しかったけど」
優吾くんの活躍もあって黄色チームはリレーで１位になった。チームメイトと笑っている優吾くんはとてもキラキラしているように見えた。
「閉会式だから戻らないと」
「そうだね。じゃ、また後で」
周りも立ち上がって戻って行くから私も立ち上がって振り返ったと同時に目の前の景色がぐらりと揺れた。
「Aっ！」
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
