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お昼休みはいつもと同じ顔ぶれ、と言いたいところだけど今日はジェシーと慎太郎がいる。もう知ってるからいいじゃん、と言わんばかりに佐伯の隣を陣取る。
「なんか俺めちゃくちゃお邪魔じゃない？」
「そう言うな慎太郎。俺だって思ってるよ」
何が悲しくてカップル２組と飯食わなきゃいけないんだ。まあ今までジェシーたちがいないだけで大我たちとは普通にしてたけど。
「どうせなら樹たちも呼べば良かったのに」
「ムリムリ。樹も北斗もお呼びだしされてたから」
「相変わらずモテモテだねえ」
大きな口でおにぎりを食べる慎太郎と雑談しつつ気になるのは大我のこと。ぼーっとしてるし、せっかくの美味しそうなお弁当のおかずは減っていない。
「…もーらい！」
「え、あ！俺のエビフライ！」
「うんま！やっぱ大我のママのエビフライは格別だね」
「ちょっと高地、俺も狙ってたのに」
ずるい、と言う慎太郎は唐揚げをつまみ上げる。俺も、と便乗しようとしたジェシーは佐伯に止められていてAは苦笑い。
「もう、俺のご飯なのに」
「大我がぼーっとしてるから。なに、疲れた？」
「そういうわけじゃないけど」
「ちゃんと水分取ってた？お前体調崩しやすいんだから気を付けろよ」
「…わかってるよ」
「本当にわかってるのかね。午後はそんな長くないけど無理しないようにA見張っててよ」
「うん。任せて」
「だから大丈夫だって」
「まあまあ、優吾くんも心配なんだよ」
私のおかず食べる？とAが言えば嬉しそうに箸をのばす大我。そんな姿を見るのは初めてじゃないのに、今日はなんだか心にずっしりとくる。
俺の方が暑さにやられているのかもしれないな。
お弁当も食べ終わってあと20分後には午後の部が始まる。慎太郎は体育委員だから先に行かないとって言ったから今は居ない。
「高地くん、ちょっといいかな」
「あー、うん」
「高地もやるじゃん」
「ジェシーうるさい」
隣のクラスの女の子に呼ばれて廊下の端まで付いていく。俺だって樹よりかは少ないけどこういうことに経験がないわけではない。あのね、と俯きながら時折上目遣いをしながら話しかけてくる女の子は今日だけで実は３人目。
「高地くんのこと、前から好きで…その、良かったら私とリボン交換だけでも」
「気持ちは嬉しいけど、ごめん。俺、好きな人いるんだ」
「…そっか。ごめんね、呼び出したりして」
彼女は目に涙を浮かべたまま隣を走り去った。それに罪悪感なんて思うこともなく、ただ大きくため息をついた。
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
