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短距離で１番になれたからかご機嫌な高地の隣でAたちの出番を待つ。でも多分ご機嫌な理由はそれだけじゃないだろうってことは気付いている。
「大我どうかした？水分不足か？」
「高地はさ、まだAのこと好きでしょ」
疑問系じゃなく言い切ったのは疑問にすら思ってないから。周りは目の前のレースに夢中だろうし、聞こえてはいないだろう。
「…なに急に」
「Aの声聞こえてからスピード上がったなって思ったから。ほら俺も隣に居たからさ、そうかなって」
当たりでしょ？と顔を覗き込めば気まずそうに苦笑いする高地。ほら、それは肯定ってことでしょ？
「ごめん」
「いや別に謝ってほしいわけじゃないよ。ただの事実確認」
「忘れようとしたけど、」
「言い訳してほしいわけでもないから。あ、佐伯の番だよ」
じゃあなんで聞いたんだよ、って小声で言う高地には悪いけど聞こえないフリをして目の前で粉の中から飴を探す佐伯の応援をする。
「ほら頑張って。あ！もうちょっと端にあるんじゃない？」
「っ、ジェシーうるさい！！」
「HAHA！怒られちゃった」
いつの間にか俺らの近くにジェシーが居て佐伯に色々アドバイス？をしてたかと思えば顔に粉付けた佐伯に怒られている。そんなジェシーを慎太郎はゲラゲラ笑っている。
「なんでジェシーが？え、まさか！？」
「あれ、高地も知らなかったの？さっき白石さんも驚いてたけど」
「知らないよ！なんで教えてくれなかったの？」
「いやーだって高地は失恋したばかりだったし」
「佐伯が隠したいって言ってたんだよ。まあ気付かない高地も高地だけど」
「だからって…あー、最近帰りに待たされると思ったらそういうこと？」
「家の近くまで送って戻ってきてたの。気付かないのは高地だけだったけどね」
特徴的な笑い声を出せば樹と北斗も近くにやって来た。結局６人集まっちゃうんだな。さらに賑やかになっていよいよAの出番。
「お、白石ちゃんだ。ここ来たらみんなで頑張れって言っちゃう？」
「それは白石さんに迷惑だからやめろよ」
「もう北斗は真面目だな。こういう時くらい騒いでも大丈夫だろ」
「樹やめとけ。A絶対嫌がるから」
「高地まで言う？きょもどう思う？」
「俺もやめてあげてほしいかな？声援なら俺だけがするから」
なんか高地がAのことわかってます、みたいで嫌だなって思っちゃった。
「華麗にマウントされたね」
「慎太郎、うるさいよ？」
「なんで俺だけ！？」
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
