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「ジェシー、慎太郎、帰ろ」
いつもは玄関から遠いこの２人のクラスに放課後来ることはない。向こうから来てくれるから。でも今日は早く教室を出たくてわざわざ階段を上がってきた。
「きょもは？」
「休み。樹と北斗も何か用事あるとか言ってた」
「そっか。じゃあ今日は３人なのか」
寂しいね、ジェシーは言うけどその数秒後にはいつも通り笑ってる。それが嫌だとか嘘だとか思わない。それが彼だから。今の俺にはそんなジェシーがありがたい。
「高地なんか元気ない？」
「あー、ちょっとね…」
「わかった！何かやらかして白石さんに嫌われちゃったとか」
「甘いなジェシーさん。きょもに出し抜かれて２人が良い感じで落ち込んでると俺はみた」
「嫌われてはない、と思う。でも、慎太郎が合ってるかな」
普段おちゃらけているくせにこういう時に妙に鋭いんだよな。それだけ周りを見てるってことなんだろうけど、すっぱり言い当てられてしまったからには隠す必要がない。帰りの出来事をぽつりぽつりと話す。
「…別にさ、大我がしたくてやったことだし、俺が出遅れたんだってわかってんだけどさ」
「でもさ、白石さんが本当にきょもを好きになったかなんてわかんないじゃん。直接聞いたわけ？」
「聞いてない、でも」
聞かなくてもわかるじゃん。だって大我だよ？あいつ嫌う要素ある？ないでしょ？それを俺が１番わかってる。
「じゃあまだ失恋だ、って言うのは違うよ。そんなんで諦められるくらいだったわけ？高地の方が本気じゃなかったんじゃない？」
「そんなこと、」
「良かったじゃん。まだ諦めなくていいって気付けたんだから。また明日から白石さんにアピール頑張って行こうよ」
「なんかアイス食いたくね？」
「よし！コンビニ行こうぜ！」
あんなにどんよりとしていた心の靄が一気に晴れた気がした。こいつらと友達で本当に良かった。
調子に乗るから言ってやらねえけど。
「ジェシー？」
「あれ樹と北斗じゃね？あ、白石さんもいる、かな」
コンビニに寄ってアイスを食べながら歩いていたら通りかかった公園で見知った奴を見つけたジェシーが立ち止まった。
「なんか雰囲気やばくね？あ、高地！」
ちょっと離れてたけど白石さんは泣いてるみたいで、慎太郎に止められたけど俺の足は公園内を足早に進む。近くに来ればやっぱり白石さんは涙を流している。
「白石さん、大丈夫？」
「っ、高地く、ん？なんで、」
「…樹、北斗、お前ら何したんだよ」
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
