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席替えも終わって放課後。そろそろテスト勉強も始めないとね、なんて優吾くんと話していれば遮るように間に立ったのは大我くん。
「ちょっと！なんでまた隣なの？」
「なんでって言われても」
「大我のくじ運ないだけでしょ」
「高地だって最初ここじゃなかった！」
「仕方ねえじゃん。鈴木さん見えないって言うし俺みたいなデカいのが１番前に居たらみんな困るでしょ」
「ずるい！俺もAの隣がいいから高地替わってよ」
「もう決まったから無理だし。っていうかそんな理由無理だろ」
ずるい！と何度も言う大我くんと軽くあしらう優吾くんはまるで兄弟みたい。
「いいじゃん席くらい。お前はいつでもAと居られるんだから」
「ま、まあね！俺彼氏だもん」
「…はあ、本当にこいつで大丈夫そ？」
「えっと、」
「大丈夫だって！Aも迷わないでよ」
迷ったわけじゃないけど、すっと言葉が出てこなかったのは確かだ。ごめんね、と言えば大我くんは笑って許してあげる、と言ってくれた。
「じゃ、俺帰るわ。大我はAと帰るんでしょ？」
「うん。みんなによろしく」
「なにをよろしくするんだよ」
じゃあね、と優吾くんは帰っていき、気付けば教室内にはほとんど人は居ない。サエも用があるって言ってたから早々に帰ったようだ。
「俺らも帰ろっか」
「うん」
鞄を持って一緒に教室を出る。そういえば教室から一緒に帰るのは初めてだな。時折他の生徒からの視線が気になりはしたけど玄関を通り抜けたらそんなものも気にならなくなった。好きなアニメの話とかまた一緒に出掛けようかとか話ながら帰った。
「おー、マジなんだ」
「こう見るとやっぱりお似合いだよな、あいつら」
はあ、とため息の先には大我とAが一緒に帰っている姿。３階の窓からでもよく見えるまさに幸せいっぱいな２人。
「落ち込むくらいなら見なきゃいいのに」
「だって…ってか樹たち遅くね？今日ここ集合って言ったのに」
「長引いてんでしょ、きっと。あそこの担任話長いから」
大我たちが見えなくなった頃に遅くなった！と樹と北斗が教室に入ってきた。
「悪い！ちょっと北斗の話が長くて」
「俺かよ。樹の理解が遅かっただけでしょ」
「今日は高地の慰め会しないとなんだから」
「慰め会とかいらないんだけど。お前ら騒ぎたいだけだろ」
「まあまあ、元気づけてあげようって優しさでしょ」
落ち込んでたのは本当だからちょっとはありがたいと思うのは内緒。
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
