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ぼんやりしながら自分の席に着いていると大我くんが１人で戻って来た。優吾くんはやっぱり松村くんのとこらしい。
「高地ビックリしたみたい」
「そっか」
「あれ？もしかして高地には知られたくなかった？」
「そんなことは、」
「ふは、ごめん意地悪しちゃった」
いたずらっこみたいに可愛く笑う大我くんに笑って返すしか出来ない。大我くんは優吾くんを好きなままでいいって言ったけど、ずっとこのままってわけにはいかないよね。
しばらく雑談していれば優吾くんが戻って来た。
「おはよA」
「おはよう」
「ごめんね、さっき。俺ビックリして北斗のとこまで走っちゃったわ」
「いや、なんかこっちこそごめんね？」
「…ううん。大我のことよろしくね」
「え、俺がよろしくされるの？」
「お前突拍子もないことしたり言ったりするから絶対Aが大変だもん」
「そんなことない、とは言いきれないけどさ」
「ほら、自覚あるんじゃん」
隣で繰り広げられる会話はいつもと変わらない。サエも登校してきても休み時間も昨日までとは何も変わらない。４人で喋ってご飯食べて……
「今日は席替えするか」
午後になって担任の言葉にドキッとする。せっかくこの４人で居られるのに席替えしちゃうのか。またみんな近くになれたらいいのに。
「じゃあくじ引いてとりあえずその席座って。もし見えないとかあればその時替えるから」
黒板に先生がランダムに数字を書いていく。その中でくじを引いて照らし合わせる。
「番号順なら近かったのに」
「まあ仕方ないよ。あ、もう移動しなきゃ」
私の新しい席は窓側から２列目の１番後ろ。隣は女子の中で１番小柄な鈴木さんで黒板が見えないかも、と困っている。サエと大我くんは廊下側で前後に並んでいてちょっとだけ羨ましい。
「じゃあ鈴木は１番前来るか。あと替えたいやつはいないか？はい、じゃあ席移動させて」
鈴木さんの代わりは誰なんだろ？もっとよく見てればよかったな、と戻って机と椅子を持ち上げる。一斉に移動するからちょっとうるさいけど新しい席にワクワクと不安。
「隣よろしくね」
「う、え？優吾くん？」
「鈴木さんと代わったからね。大我じゃなくてごめんね？」
「な、なに言ってるの」
「冗談。あとで大我に自慢しちゃおうかな」
優吾くんがまた隣で嬉しいって思う気持ちは心の奥にしまっておこう。
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
