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「はあー…」
「でっかいため息。幸せ逃げちゃうよ？」
「もう逃げてんだよ」
「さすがの俺もそれには笑えないなあ」
今すぐ教室に戻る勇気は無くて北斗の前の席の椅子を借りてため息を繰り返す。段々と頭の整理がついてきたけど突き付けられた現実は変わることはない。
「嫌いになれたら楽なのにな」
「それは白石さん？それとも京本？」
「どっちも。無理な話だけど」
Aも大我も嫌いになんてなれない。どちらも大切な友達だから…Aのこと普通に友達って思えるようになるのかな。一目惚れして仲良くなって、やっぱり好きだって自覚して頑張ろうって思ったばかりなのに。
「そういえばさ、あの日何話してたの？」
「あの日？」
「樹とAと公園に居たじゃん」
「あー…話してもいいのかな」
でもな、とぶつぶつ言う北斗。俺に言えないってことは、
「もしかして大我のこと？」
「まあ…平たく言えばそう、かな」
やっぱり。じゃあAが大我が好きってことを北斗と樹に相談してたってことか。
「でもさ、高地。俺がこんなこと言うのもあれだけど、今すぐ諦める必要ないと思うんだ」
「なんでよ」
「えーと、チャンスはあるかも、っていうか」
「いやいや無理でしょ。知ってるから、大我はちゃんとAのこと好きだし、それにAだって…本人が言ってたの俺聞いたもん」
「それはそうなんだけど、でも、」
「気遣ってくれてありがとね。そろそろ俺戻るわ」
北斗は諦めなくてもって言ったけど、いつまでもAを好きでいるのは大我にもAにも迷惑だろ。
教室に戻ったら普通に振る舞えるかな？むしろジェシー並に明るくおめでとう！って言ってあげるべきかな？
「はあー…なんで京本は大事な部分伝えないんだよ」
高地が居なくなってまるで伝染したかのように大きなため息をついた。お試し期間って言いたくないのかな。期間が終わっても付き合える自信があるのか、それとも…
「ほーくと！朝から何難しい顔してんの？」
「俺は朝から疲れてんの」
「なんで？」
「京本が白石さんに告白したって」
「マジ？」
「それで京本は白石さんが高地のことも好きっての知ってて」
「う、ん？」
「結果的に京本と白石さんが付き合ったって話」
「マジかよ！やるじゃん、きょも」
「うん、お試し期間だけど」
「…なにそれ？どういうこと？」
「もう樹も乗り掛かった船だから責任持って話聞いてよ？」
実はね、とこの小一時間程の出来事を話した。
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
