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大我くんとの帰り道のこと、田中くんと松村くんと話したこと、優吾くんのこと、先輩たちが来るまでに話せるだけサエに話した。
「…へー、田中くんって案外優しいんだ」
「感想そこ？」
「Aが京本くんも優吾も好きなのはなんとなく知ってたから驚かないかな」
「え、」
「前にここで話した時は京本くんの方が好きかなって思ってたけど優吾とも距離感近くなってたし、名前呼びに変わって嬉しそうだったし」
「そ、そんなに私わかりやすい？」
「そうじゃないけど、いやそうなのかな」
いたずらっ子のような笑みを浮かべるサエ。他のみんなが来たからお菓子作りに集中する。
「Aちゃん、これラッピングする？」
「うーん、今回は少なめにしようかな」
「お持ち帰り？それともプレゼント？」
「プレゼントする相手なんて居ないから」
余ったお菓子を透明な袋に入れてキラキラしたリボンを結ぶ。持ち帰って自分で食べるだけにしてもラッピングは綺麗な方が自分のテンションが上がる。
家庭科室を出てサエと話してる最中にポケットの中のスマホが震えた。届いたのは大我くんからのメッセージ。
「どうした？」
「ん、大我くんからだ。部活終わった？って」
「まだ教室にいるんじゃない？行ってみれば？」
「でも、」
「田中くんが言ってたみたいに京本くんも優吾も同じように好きはいいと思う。でも、ずっと同じってわけにはいかないでしょ」
「うん…」
「まあ全然違う人好きになる可能性だってあるわけだし、今は今の最善を選べばいいと思うよ」
「なんかサエ大人だね」
「なに言ってんの。私的には京本くんをオススメしたいけどね」
じゃあね、とサエは真っ直ぐ玄関へ。私は階段を上って教室に少し早足で向かう。教室の後ろのドアを開ければ肩を揺らした大我くんが振り向いた。
「もう、急にビックリしたじゃん」
「大我くんこそ、まだ帰ってなかったの？」
「まあ30分前には終わったんだけど、A待ってた」
「私？」
「うん、一緒に帰りたいなって。ダメ、かな？」
「ううん、いいよ」
貸していた数冊のノートを鞄に仕舞って大我くんと並んで教室を出る。人の気配のない廊下は独特な雰囲気で妙な緊張感に口数も減っている気がする。
「今日は部活何したの？」
「ブラウニーを作ったよ。あ、良かったら食べる？」
「ありがとう。ちょっと期待してたんだよね」
「なんだ、お菓子目当てか」
「それもちょっとあるけど、Aと話したかったから」
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
