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「そんなん納得いかねえな」
「…そうは言われましても」
仕方なくない？と言えば更に不機嫌そうな田中くんは少し怖い。松村くんも宥めようとはしてるけど彼の機嫌は直る気配はない。
「過去がなんなの？そんなんいつまでも気にしてどうすんの？白石ちゃんは一生独りで生きてくわけ？」
「それは、」
「そりゃさ、臆病になる気持ちもわかるよ？でもさ、白石ちゃんが人を好きになっちゃいけない理由にはならないでしょ」
「別にさ京本が嫌いなわけじゃないんでしょ？京本を好きな奴に攻撃されたら怖いから踏み出せないんだよね？」
「そうなる、ね」
「そんなん考えなくて良くね？他人にどう思われようが自分は自分だろ？」
田中くんが言いたいことはわかる。痛い程わかる。
「頭ではわかってる、でも心が付いていかないの。それに、」
「それに？」
「大我くんも高地くんも同じくらい、その…好きってのはダメでしょ。どっちがって田中くんは聞いたけど、私には選ぶことが出来ない」
選ぶなんて言い方偉そうかもしれないけど、今の私には難しい。
「何がダメなん？別に２人が好きならそれでいいじゃん」
「え？」
「例えば白石ちゃんがきょもと付き合ってて高地も好きっていうのはダメだけどさ、誰とも付き合ってないなら問題ないっしょ」
「そう、なの？」
「好きな人が１人じゃなきゃいけないって誰が決めたの？きょもが好き、高地が好き、今はそれでいいじゃん」
「難しく考えなくても自ずと答えは出るもんだよ。大丈夫、いつでも相談乗るし」
「そうそう！爆モテじゅったんがアドバイスしてやんよ。北斗だけじゃ頼りないし」
「おいこら、それは俺に失礼だろ」
なんだ、私が勝手に堅苦しく考えていただけだったんだ。
「…ありがとう」
「は、え？ちょっと泣かないで！俺らが泣かせたみたいじゃん」
「だって、っ、田中くんが、思ってたより優しいから」
「俺そんな怖く見えてたの！？」
「うぅ…ごめんなさい」
怖かった、でも今日彼らと話せて良かった。今の自分でもいいんだって認めてもらえた気がして安心感からか涙が止まらない。泣き止まなきゃって思うのに簡単には止まってくれない。
「白石さん、ちょっと落ち着こ？」
「ごめ、ん。話してスッキリしたら、なんか涙止まらなくて」
「うんうん、樹怖かったもんね」
「誤解だって！もうわかったっしょ？な？」
「樹がそうやって圧かけるから」
「北斗は黙ってて！ねえ！白石ちゃんもう泣かないで」
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
