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昼休みが終わるギリギリに大我くんからの返信と高地くんが戻ってくるのはほぼ同時だった。
“思ってたより熱が高くて、明日も行けるか微妙”
「大我から返事きた？」
「あ、うん。明日も来れるかわかんないって」
「そっか」
高地くんはそれきり話さなくて、その後の休み時間もどこかへ行ってギリギリに戻ってくる。大我くんが居ないからかな、ってサエと話していたけど本当にそれだけなんだろうか。
放課後もじゃあね、と一言だけで帰ってしまった高地くんを気にしつつ私たちも帰る準備をした。サエと一緒なのは校門まで。１人になって考えるのは大我くんの体調は大丈夫か、高地くんはどうしたんだろうかという２つだけ。
明日になったらまた今まで通り話せるのかな。
「ちょっとそこのおねーさん、暇なら俺らとお話しない？」
いきなり聴こえてきた声に一瞬だけ体が強ばったが、その声の主を見れば呆れたため息に変わる。
「そういうのは綺麗なお姉さんにするものだよ、田中くん」
「まあ白石ちゃんはどちらかと言えば可愛い系だよね、北斗」
「そうねー、って俺に振るなよ。ごめんね、樹が」
「なんだよ。こうでもしないと白石ちゃんと話せないって言ったの北斗じゃん」
「ナンパしなさいとは言ってないのよ」
「まあまあ、白石ちゃんどうせ暇でしょ？ちょっと着いてきてよ」
「お金ならないよ？」
「っは、俺そんな脅しするように見える？」
「うん、見えなくはないよね」
「意外と肝座ってるよね、白石さんって」
それは褒め言葉なのか？と思ったけど多分いや絶対話が脱線するだけだから口を紡ぐ。大人しく２人の後ろを着いていくと公園内の東屋に行き着き、距離を少しあけて座った。
「単刀直入に聞くけどさ、白石ちゃんは高地ときょものことどう思ってんの？どっちが好き？」
「……は？」
何故田中くんにそんなこと聞かれるのかと一瞬ビックリしたけど彼の奥に座った松村くんが申し訳なさそうに手を合わせているのが見えて、ああ彼から朝の話がいったのだなと瞬時に理解出来た。
「２人とも素敵だな、とは思ってるよ。でも…多分田中くんが望んでるような答えは出来ない」
「なんで？きょもも高地もめちゃくちゃ良い奴だよ？」
「わかってる、けど…」
彼らの人となりはまだ付き合いの浅い私でもわかる。それでもどうしても忘れられない過去に囚われている私にはそう簡単に踏み出すことは出来ない。
本日２度目の過去の話は田中くんの眉間の皺をどんどん深くさせていった。
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作者名：いか | 作成日時：2023年5月20日 19時
