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「おい、藤ヶ谷！？お前、何やってるんだ、こんなところで！」
「お前、体大丈夫なのかよ！？」
事務所に着いた俺がエレベーターを待っていると背後から声がして、振り返ると目を見開いて驚くマネージャーがいた。隣には俺の相棒の北山も居た。
「マネージャー…北山も…」
この状況をどう説明したらいいのか分からなくて口籠る俺の腕をマネージャーが掴んだ。
「病院へ戻るんだ」
「ちょ、待ってください！話を聞いて…っ」
出入り口へと向かおうとするマネージャーの腕を振りほどいた。
「藤ヶ谷、お前自分の体が今どんな状態か分かってるのか！？次、大きな発作を起こしたら…お前は…」
分かってる。
二人は心配してくれてるんだって。
俺がデビューしてから今日までずっと、俺を支えてくれた大切なマネージャーと相棒だから。
苦しい時も楽しい時もいつも一緒に乗り越え分かち合って来た。
だけど、だけどね、俺は健康な体を手に入れた。
短い間だけど、もう一度歌える最期のチャンスを手に入れたんだ。
だから、ごめん。
「…マネージャー、すみません。俺は、どうしてももう一度だけステージに立って歌いたいんです。もう一度だけ、北山と一緒に歌いたいんです。その為なら、この命だって…惜しくない」
俺は頭を下げた。
「お願いします。俺の最期の我が儘を聞いてください」
俺は、我が儘に生きたいんだ、最後まで。最期の瞬間まで。
「藤ヶ谷…」
「最期って、お前……」
北山とマネージャーの泣きそうな声がした。
ああ、俺の所為で泣かせてしまうんだ。
それでも……。
「俺はこの命を賭けて歌います。分かってください」
迷いのない俺の目にマネージャーが黙った。俺は頭を下げてエレベーターに乗り込んだ。
「いいのか、泣いてたぞ」
「…二人なら、きっと分かってくれる。だって、ずっと一緒に頑張ってきた人達だから…」
一部始終をずっと横で見ていたワタルが声をかけてきた。
歌っても歌わなくても、この命が尽きるなら、俺は最期まで歌い続けたい。
例えば歌を無くして長生き出来るとしても、俺はきっと歌を選ぶ。それ位、俺には歌が全てだから。
だから、必ずもう一度だけステージに立ってみせる。北山の隣に立ってみせる。
社長室の前で一度深く深呼吸をした。ノックする手が震える。
「どうぞ」
中から声がして、俺はもう一度深呼吸した。
「失礼します」
重い扉を開けて、一歩一歩踏み締めるように歩いて中に入った。
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琥珀 - はい！！絶対に読みます！！ってゆうか、読んでます(笑) (2015年5月6日 23時) (
レス) id: 81fa3df666 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 琥珀さん» コメント、ありがとうございます！楽しみにしてくださって、本当に嬉しいです。頑張りますので、引き続き読んでくださったら嬉しいです！ (2015年5月6日 15時) (レス) id: 169b65b4ce (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 頑張ってください！！続き、楽しみにしてます！！ (2015年5月6日 14時) (レス) id: 652e9fb3ab (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 海樹さん» 此方にもコメントありがとうございます！凄く励みになります。ゆっくりになるとは思いますが、更新頑張りますので、これからも読んでいただけたら嬉しいです^ ^ (2015年4月18日 19時) (レス) id: 169b65b4ce (このIDを非表示/違反報告)
海樹(プロフ) - 少ししか読んでないのに、文章がスーと頭に入ってきて自然とイメージを膨らませてくれました！ 文章がとても綺麗で、芯がありながらも優しい雰囲気を感じました☆ 更新楽しみにしています(*^^*) (2015年4月18日 19時) (レス) id: 8dd0998254 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツ | 作成日時：2015年4月18日 13時
