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「そろそろ帰ろっか?」
「ん。」
ん、と君はよく言う。
その響きも好きだったりして。
「おんぶ?」
「しないよ。」
その誘いに胸が高鳴ったりする。
「わかってるよ。」
「何、それ。」
どこか曖昧で
のらりくらりとした君は
つかもうと思えば
するりと消える。
「自転車乗りたい。思いっきり飛ばしたい。」
「そん時は、僕がこいであげる。」
「ありがと。」
不思議な会話だ。
決まってもいない未来の約束をする。
あやふやで
ゆらゆらと揺れる未来。
この先も一緒にいれる保証なんて
どこにもない。
「いつか、どこか行こう。」
「どこ?」
「わかんない。」
不思議ちゃんレベルじゃない。
頭がおかしいのかと思うくらいの、
不思議ちゃんっぷり。
「どうかした?」
「別に。」
それなのにこんなにも好きになってしまうなんて。
いったいどこがそんなに好きなのか。
「A、あそこに精霊があるんじゃない。」
「どこ?」
4本立っている木の間。
涼しげな空間を指す。
ほんとはお互いこんなキャラじゃなくて、
普通の人間だけど。
「ほんとだ、見える。」
「ね。」
君といる時だけは羽目を外したい。
変な奴になりたい。
見えもしない精霊が見えて、
ありもしない異世界への扉を見たい。
「私たちを呼んでるね。」
君は声を上げて笑った。
君もおんなじ気持ち。
2人とも似たような人種。
臆病で怖がりな、
弱い人間。
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作者名:ゆうき | 作成日時:2018年9月19日 1時