「垣間見る彼女の艶姿に自覚する」 ページ30
(降谷視点)
闇オークションに潜入捜査することになり、俺は会場側の人間として潜入する事になった。
堅苦しい執事服を身にまとい、翠川に何か不備がないかと見てもらうと、何やら公安やFBIの人間を含め、少しざわついていた。
普段着飾らない風見が潜入捜査の為、着飾っているのを揶揄われていたり、癪だが体操スーツ姿が似合っている赤井と、少し空気が浮ついている。
静かにしろ、と俺が言葉を発しようとした時、騒ぎの中心を俺を見つけた。
「……落ち着かんな」
騒ぎの中心は佐倉だった。それも、かなり露出度の高いドレスを身にまとっており、野郎共の視線は釘付けだし、FBI時代の頃の佐倉の同僚と思われる女性は満足気に目を輝かせていた。
佐倉がこの様に露出度の高いものを選ぶとは思えないから、恐らく選んだのは先程の女性だろう。
(う、わ、)
普段は白衣の下に隠れている肌が丸出しで、肩、背中、足も惜しげも無く晒し出されている。
……俺も男だ。後輩とはいえ、女性の着飾った姿を見れば素直に色っぽいとは思う。
俺の隣にいた翠川は素直に佐倉を賛美し、佐倉はいたたまれなさそうにしている。
一瞬だけ、佐倉と目が合ったが、落ち着かないのかすぐに逸らされてしまった。
だがまだ潜入捜査前だ。幾ら何でも、あのままというのは…
俺もなんだか落ち着かなくなって、辺りを見回せば、近くの椅子に佐倉がいつも着ている白衣を見つける。
「背中、」
「え、」
「あと足、」
佐倉に潜入捜査が始まるまでは白衣を羽織っておけと言えば、戸惑いながらもお礼を言ってくれた。
まともに話せたの、初日以来ではないのだろうかと思うくらい、久しぶりに話した感じがする。
何だか妙に恥ずかしくなって、部下に指示を出す為にも俺はその場を離れる。
初日の、あの気押される様な殺気を醸し出していた佐倉。いつも、なんでもそつなくこなしていた佐倉。男性的な口調でいつも話し、雄々しくて、妙に男前で、女扱いを嫌う佐倉。
それが、普段との余りにもギャップが激しくて、妙に動悸がおさまらない。
何となく顔に熱が集まっているのがわかる。
嘘だろう。こんなのは、嘘だと言って欲しい。まさかだと思うじゃないか、だって、こんなの、
(う、わー…)
自覚した。自覚してしまったのだ。
『女だと見くびらないで頂きましょうか、降谷零殿。貴方がそうせよ、と命じた事は、私はどんな手を使ってでも成し遂げてみせますよ』
あの時から本当は、
一目惚れでした、なんて。
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レモン(プロフ) - なかなか言い出せないで嫉妬している降谷さんが面白いです! (2018年12月1日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - スコッチ本名は諸伏景光です! (2018年12月1日 21時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 私も萩原さんオチか松田さんかヒロミツ君オチハが理想です!スコッチ本名出ましたよ (2018年12月1日 21時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 警察学校組好きなので生存していて、うれしいです。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
愛流(プロフ) - 松田刑事か、萩原刑事オチが理想です。 お身体に気を付けて、更新頑張ってください! (2017年10月9日 8時) (レス) id: 0e1226e354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔@元あい | 作成日時:2017年8月28日 4時