【名探偵コナン】エリートだって恋はするものだ

「隙がない。可愛げもない。エリートはそういうものだ」 ページ3

(降谷視点)


「なんっなんだあいつは…」

あの最悪のファーストコンタクトから数日、最初が最初だった為、佐倉に要件や仕事を伝える際に接触すれば、佐倉は、俺を一睨みしてから「拝命しました」と仕事を請け負うようになった。
いや、確かにあれは自分が悪かったのは自覚している。自覚はしているが、あんなあからさまな態度を取らなくてもいいんじゃないのか。

そう言いたいものの、佐倉は確かに物凄く優秀だ。
引き受けた仕事は完璧に仕上げてくる上に、事後処理や事務処理までも完璧ときた。
文句を言う隙も、付け入る隙もなくて正にお手上げ状態。そんなにも、初日のアレが癪に触ったのだろうか。

「ゼロがそんなに悩んでるの珍しいな」

珍しいものを見たと笑うのは、俺の同期で幼馴染の翠川。
あの時こいつもあの場に居たから「まあ何とかなるだろ」と慰めてるのか何なのかよくわからない言葉を投げてくる。
はぁ、と大きな溜息をつけば風見にも心配される始末。
別の案件で今この場を欠席している佐倉は、今日もいつも通り、予定よりもずっと早くに仕事を仕上げてくるのだろう。

「まあゼロの言い方は確かにちょっとアレだったけど、多分佐倉が怒ってるのは、周りの環境もあったんじゃないかなって俺は思うよ」

「環境？」

「そ、環境。彼女、元FBI捜査官で、その後この公安に配属されたろ？ほら、公安とFBIって共同捜査する事は多くなったけど…やっぱり仲がいいってわけじゃ無いからさ」

「…………」

確かに。と腑に落ちる。
余り公安警察はFBIを好ましく思っていない。恐らくそれを承知の上でだったんだろうし、それで俺のあの発言で怒るのも仕方ないってのは分かる。
でも…それでも、それでもだ。初日のあれ以来、彼女とはまともに目があった記憶がない。
別に嫌われるのは構わない。職業柄それは仕方ない事ではあるが、毎日顔を見合わせる職場の人間となると、流石にこのままだと、と思うのだ。

「ゼロも佐倉も忙しいから中々話せる時間がないのも問題だよな」

「……そうだな」

「ま、何にせよ職場の空気が悪くなるのは良くない。なるべく早めに仲直りしろよ？」

「……善処する」

俺がそう言うと翠川は外に出てしまった。
職場の空気が悪くなるのも、現場の指揮に関わるから良くないとは分かってるのだが、佐倉も俺も仕事の都合上、どうしても時間も都合も合わない。
どうしたものかな…と本日2度目の大きな溜息をついた。

「慢心はいけないことだ。勿論、侮ることも。」→←「ファーストコンタクト？結論から言おう。最悪だ」

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