「勝てる気もしなければ勝てる訳もないのだ。この人には」 ページ19
「何人か出入りしているようだな」
「構成員か?…なんにせよ見過ごせない状態ではあるんだが」
街が見渡せるビルの上から件の組織のアジトと思われる場所を赤井と一緒に双眼鏡で監視する。
案の定、萩原と松田と別れた後に赤井から連絡が来て「今すぐ来い」と言われ今に至る。
私に対しての横暴さは相変わらずのようだ。別に構わないが。
「幹部と思わしき人間が出入りしてないのが気になるな。あの中にずっといるのか、はたまた人間選別でもしているのか」
「物騒な事を言うな」
「否定はし切れんだろう」
「…まあな」
どうしたものかなと双眼鏡で監視をし続ける。
これといって大した動きは今のところはない。今が日中だからと言うのもあるのかもしれない。やはり連中が動くのは夜か…?
「ところでA」
「なんだ」
「お前は降谷くんと喧嘩でもしているのか」
動揺して思わず噎せてしまった。
分かりやすいな、と赤井は言うが背中をさすってくれている。
「……何故それを」
「いや、誰かに聞いたと言うわけでもなく、単に君達の空気が妙にギクシャクしているのに気付いてな。まともに会話をしてる感じでもなかったから、喧嘩でもしているのかと」
「相変わらず鋭い事だな。 ……喧嘩というよりは、少し癪に触って、謝ろうと思っても互いに会う時間がないというだけだ」
ずっとモヤモヤしたまま、結局FBIと共同捜査という大きな仕事まで舞い込んで来て、余計謝れるような機会も時間も無くなってしまった。
「昔から言っているだろう、お前は人付き合いをもっと大切にしろと」
「それ、貴方には一番言われたくない言葉だよ。 ……言わないでくれ、これでも自己嫌悪中なんだ」
「50:50と言った感じか」
「そんなところだな」
こんな話題を持ちかけられては仕事どころではなくなってしまう。
双眼鏡をかざす手を下ろして溜息をつけば、赤井の大きな手が私の頭を乱暴に撫でた。
「うわっ、何をする」
「しっかりしろ佐倉A。弱気なお前などお前らしくない。いつも強気で、それでいて頼り甲斐のあるいつもの佐倉Aにさっさと戻れ」
「……」
「返事は」
「……はい」
畜生。この人なんだかんだスパダリだからいつも励まされてしまう。
やはりこの人の背中は大きいのだ。私では勝てないとずっと思っているし、FBIでもなくなった今の私をこの人は支えようとしてくれている。
有難くもあり、そして同時に、申し訳なくもあった。
リク募集ですぞ→←「あいつらは好きでも、俺は好きではない。……多分」
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レモン(プロフ) - なかなか言い出せないで嫉妬している降谷さんが面白いです! (2018年12月1日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - スコッチ本名は諸伏景光です! (2018年12月1日 21時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 私も萩原さんオチか松田さんかヒロミツ君オチハが理想です!スコッチ本名出ましたよ (2018年12月1日 21時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 警察学校組好きなので生存していて、うれしいです。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
愛流(プロフ) - 松田刑事か、萩原刑事オチが理想です。 お身体に気を付けて、更新頑張ってください! (2017年10月9日 8時) (レス) id: 0e1226e354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔@元あい | 作成日時:2017年8月28日 4時