【名探偵コナン】エリートだって恋はするものだ

「気に食わないものは気に食わないのだ。」 ページ13

(降谷視点)


『件の人身売買組織が最近日本に拠点を置き、秘密裏に活動しているとのリークが入った為、FBIと公安で共同捜査する事になった』

要約すればそんな感じだ。
アメリカでも有名だったその組織はどうやら最近、アメリカでの活動が落ち着き、そしてどうやら日本で活動しているとの情報が入ったらしい。
机に並ぶ組織のメンバーや情報、拠点と思わしき場所の地図などそれと照らし合わせてホワイトボードに風見がまとめる役をしている。

ちらりと佐倉の方を盗み見れば、赤井と何やら話しているらしい。
恐らくはこの組織についてはどうだのと話しているのだろう。
FBI時代の後輩だと赤井は言っていた。昨日のは唐突過ぎたが、赤井にしては目に見えるように可愛がっていた為、本当に大事な後輩なんだろうなと思う。
しかし、何となく、本当に何となくなのだが気にくわない。

初日以来まともに話してない上に、佐倉からは露骨な態度を取られているので当然といえば当然なのだが、赤井と話している佐倉は、呆れた顔をしているが笑っていた。

(……そんな風に笑うんだな)

と、ハッとする。何を考えているんだ俺。

赤井には懐いているのに、俺には懐くどころか嫌悪感丸出しで悔しいと言うのが無いわけではない。
無いわけではないのだが、どうにも赤井に負けた気になってるのが気にくわない。
謝れば済む話であるのだが、この会議も終わればまたすぐに俺含め皆は持ち場に戻らなければいけない。

そんな時間すらもないほどに公安は慌ただしく忙しい部署ではあった。

「被害は？」

「幼い子供から大人まで…老若男女問わず、ですね。何人か保護はしたのですが、それでも全員ではないでしょう」

「ここ最近起こった誘拐事件と、潜伏先と思われる場所との地図と被害範囲を比べてみたのですが、やっぱり近場です。恐らくはここが潜伏先と見てほぼ間違いないでしょう」

具体例を出したのは佐倉。
やはりと言うか流石というかもうそこまで調べていたらしい。

「とはいえ確証に至るまでの材料はまだ足りません。一応はその地域に厳重に警備を置いた上に、現地に派遣した調査員に些細なことも報告するようには伝えましたが」

「ではそれを参考までに各々情報を集めるようにお願いします」

さて仕事だ、と一度会議は解散する事になった。

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