2松 ページ3
シャーペンを紙の上で滑らせる無機質な音が静かな部屋に無性に響く。
1人部屋として使用しているこの部屋は、1人で過ごすには少しばかり大きく感じた。
兄さん達には自分の部屋というものはないが、居間が自分達の部屋のようなもので、いつも6人仲良く一緒の布団で眠るのだ。
対する俺は、この部屋で1人で寝て、起きての繰り返し。
ニートになってしまった兄達がいまだに一緒に寝るのは如何なものかと思わなくもないが
それでも、その仲の良さに、昔から変わらないその習慣がいまでも続いていることに安堵と僅かな寂しさを感じた。
1人だけ年が離れているから、俺だけ六つ子ではないから、兄達のような言葉に出来ない信頼関係が、俺と兄達の間に存在しているのかと問われれば、自信があるとは言えない。
それくらい俺には遠くて、同じ家にいても遠く感じて仕方がなかった。
カリカリ、という無機質な音は、シャーペンの芯が折れたところでようやく止まる。
時計を見たらそこそこいい時間で、家が静かなところから、自分以外はもう誰も起きていないのだろうと思った。
長時間勉強をしていた肩はしんどくて、腕をぐるぐると回すが大して効果はない。
今日はここで寝ようと明かりを落とした。
潜った布団の温度は冷たい。
六つ子の兄さん達は、きっとすぐに布団は暖まるのだろう。
けれど、1人だから。俺は、1人だから温まるには時間がかかって、暫くは布団の中でも震えなきゃいけない。
(さむい)
ぶるりと身体を震わせて瞳を閉じる。
胎児のように身体を丸まらせて、暫く経ってようやく人並みの温度の布団になった。
そこで意識がまどろんでくる。
最近寝る前、こんな事ばかりを考えてしまう。
いい歳になって、寂しいなんて思って
小さい頃から追いかけてきた兄達の背中を押しいまでも追っている。けれど、追っても追っても距離は縮まなくて、寧ろ、離れていって
もう自分の眼の前に兄たちの背中は無いのだろうか
寂しい、寒い、
そう思いながら眠りに落ちていくのはそれで何度目か。
もう数えるのも諦めるくらいに、そんな夜を過ごした。
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ナイーブ細胞 - ４つ下の弟に会いたくなった。素敵な作品を有難う御座います。 (2016年4月21日 16時) (
レス) id: 871a2f72f8 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 更新頑張って下さい！応援してます！ (2016年4月19日 19時) (レス) id: 89c865e766 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 突然すいません！六話の○○にとってはのところ（）ついてなくて名前ってなってますよ(^o^)／ (2016年4月11日 2時) (携帯から) (レス) id: d75fb03342 (このIDを非表示/違反報告)
朔@元あい(プロフ) - 無音さん» わぁぁありがとうございます！主くんに花丸ありがとうございました…！！じわじわ近付いたりするかもしれない今後のもどかしい兄弟を見守ってやってください…！ (2016年4月11日 1時) (レス) id: 77badbf029 (このIDを非表示/違反報告)
無音 - すごい主くんの気持ちがわかって苦しくなりました。これから六つ子が絡んでいると主くんはさらに遠くなっちゃうのかな…と。兄弟の壁がなくなるといいです。主くんには私が花丸をあげます…(笑) 更新頑張ってください! (2016年4月5日 2時) (レス) id: 543116ff27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔@元あい
| 作成日時：2016年3月29日 4時
