【短編】どの世界もわたし色【実況者】

キヨ×1番大切なもの ページ12

「あーあ、疲れたー」
　
　
　
　
　
　
夜遅く、やっと仕事が終わり彼氏の家に帰ってきた
　
　
　
　
　
　
まぁ同棲してるわけですよ
　
　
　
　
　
　
「ただいまは？」
　
　
　
　
　
　
テレビの前でへばりつきながら瞳だけ動かして言ってくる
　
　
　
　
　
　
「ただいまぁ」
　
　
　
　
　
　
「おかえり。あ、あと少しで乃木坂出るからちょっと後で」
　
　
　
　
　
　
そう言って眼鏡をかけ直して一瞬にして無言になる
　
　
　
　
　
　
「…んだよ」
　
　
　
　
　
　
こっちは頑張って仕事して疲れて帰ってきてんのに。
　
　
　
　
　
　
ゲームしかしてない能天気なキヨには分からないだろうね
　
　
　
　
　
　
社会人は辛く、嬉しいこともあるが辛いことの方が多い。アメとムチの割合間違ってんだろ
　
　
　
　
　
　
もう知らない、こんなクソ。ご飯だって作ってあげないし洗濯だって掃除だってなんだって。なんもしてやんねぇよ
　
　
　
　
　
　
目を閉じて投げやりになりながら無になる
　
　
　
　
　
　
あ、明日も仕事かぁ、休みじゃなかったなぁ。休みは二日後か
　
　
　
　
　
　
スーツもしわくちゃになっちゃうし、風呂も入ってないしご飯も食べてない
　
　
　
　
　
　
なーんもしたくない、すぐ寝て癒されたい
　
　
　
　
　
　
現実、キヨだって乃木坂と女優とゲームにしか興味無いんだから。あーあ、絶望ですね
　
　
　
　
　
　
「A、A？」
　
　
　
　
　
　
あ、キヨの声聞こえる。でも返事めんどくさいな。寝てるフリでもするか。そして明日の仕事休も。本来はダメだけど。
　
　
　
　
　
　
「…Aのことが一番好きなのになんで分かってくれないのかなぁ」
　
　
　
　
　
　
「ほんっと、可愛い姫だな」
　
　
　
　
　
　
そして頬に柔らかい感覚が走った
　
　
　
　
　
　
「…眠り姫かよ、こいつ」
　
　
　
　
　
　
キヨは捨て台詞的なものを言い残して自分の部屋へと戻っていった
　
　
　
　
　
　
「…ばーか」
　
　
　
　
　
　
なんだよ、わたし愛されてんじゃん
　
　
　
　
　
　
自分が思っていたよりもたくさんの愛をもらっていたなんて
　
　
　
　
　
　
もっと表現して欲しいよなぁ、って。


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