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WZ「俺、寄るとこあるし。2人で帰って」
「…そっか。うん、わかった」
Aが俺のことをいつも気にかけるのは、きっとひとりでいる俺が心配だからだと思う。だから自分のグループの輪の中に俺を引っ張り込もうとする。別にいじめられてひとりでいるわけでもねえのに。俺が好き好んでひとりでいるんだってことを、Aはわかってないのかなんなのか。
Aに話したいことがあると言われたことは特に気にかけることもなく。Aが寂しそうな顔をしていたことも無視した俺はまた両耳にイヤホンをはめた。
そして、またあのうるさい輪の中にいる誰かに呼ばれたAは、俺のジャケットから手を離し離れて行った。
HS「ジフナ」
WZ「なに」
今度はスニョンにイヤホンを引っ張られて声をかけられる。もうマジで、こいつら揃いも揃ってうるさい。
視線を向けない俺にスニョンはわざわざしゃがんで、俺と視線を合わせた。その一連の行動がAと同じで腹が立った。そしてそのスニョンの真剣な顔に、言われることが想像できた。
HS「俺、Aに告白するから。いいよね?」
WZ「…勝手にすれば」
予想通りの言葉にため息が漏れる。
牽制から始まった俺への攻撃。きっとスニョンは俺の気持ちにも気付いていて、それが自分と同じなんだと知った。だから俺はAをそんな風には思っちゃいないと、何度も言葉にしているっていうのに。
WZ「お似合いだよ、おまえら」
HS「だといいけど」
2人はきっと付き合うんだろうと思っていた。
それなのに…Aは何も言わずに俺たちの前からいなくなった。
誰にも何も言わずにいなくなったAに学校中は動揺していたけど、どうやら担任曰くソウルの高校に転校していったらしい。
「Aがいないとつまんねえよな」
誰かのそんな声が聞こえて、空席になったあいつの席を見る。
なんだか、心にぽっかりと穴が開いたような気分になった。
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作者名:緋夏 | 作成日時:2020年3月27日 15時