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「あっ、スニョア！危ないってば」
HS「大丈夫だよ」
「帰ろう？家まで送るから」
HS「…本当に、大丈夫だから」
段々とスニョンの顔はこわばっていって、その空気を感じているのかAもオロオロし始める。スニョンはいつも笑顔で、不機嫌を顔に出さない奴だから、あまり見ないその姿に戸惑っているんだろう。
WZ「Aに八つ当たりすんなよ」
HS「してないよ」
俺の言葉に、スニョンの不機嫌が全面に出し始めて。低い声で俺を睨み付けた。
WZ「してんじゃん。言っとくけど、手出したの俺だからね」
HS「だから…っ、してねぇって言ってんだろ！！」
「…っ、スニョア？」
声を荒らげたスニョンに多分Aは何かを感じとって。スニョンもハッとしたように慌ててAへと視線を移した。
HS「あー…ごめん、今のナシ。忘れて」
「スニョア…！」
ごめんねA、と笑うスニョンはそのままふらつきながらもひとりで立ち上がって、タクシーを拾うために車道へと向かう。そんなスニョンを追いかけようとするAにイラッとして腕を掴めば、Aは困ったように俺を見つめた。
「ジフナ、今日はごめん。帰る」
WZ「A」
「今のスニョアをひとりには出来ないよ」
ごめんね、とまるで振られたみたいな気持ちになって、払われた手は虚しく宙を切った。
WZ「俺は、ひとりにしても平気なわけ？」
「ジフナ、今はやめて」
WZ「…っ」
女々しい奴が嫌いだった。男のくせに情けねえ奴って見下していた。
それなのに、俺がそんな発言をしたことに、自分で自分に幻滅した。
Aを愛した俺は、今まで見下していたような情けない奴に成り下がったのかと呆れて、絶句した。
スニョンの言う通り、きっと俺は都合の悪いことからは目を背けてきて、そしてそれに気付いても尚、直すつもりもない。
遠くなっていくAの背中にズキンと心が痛んで、タクシーに乗り込む2人を引き止める言葉が思いつかない。
WZ「…なんで、」
結局臆病な俺は自分もAも壊すことが出来なくて。
引き下がりたくなんてないのに。Aの中から俺の記憶が消えてしまいそうな気がした。
少しずつ毒が広がって、俺を蝕んでいくような感覚だった。
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作者名：緋夏
| 作成日時：2020年3月27日 15時
