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HS「おまえのそれは、愛じゃないよ」
WZ「は？」
HS「だっておまえは、Aのためを想ってない」
そう言ったスニョンに、ドクンと胸が痛くなった。まるで心臓をナイフで刺されたかのような痛み。
今まで俺が優勢だったはずなのに。俺の方が、Aと近かったはずなのに。その言葉がまるで俺を突き落したかのように、目の前が真っ暗になった。
HS「好きだ、愛してるって、気持ちを押し付けるのは愛じゃない」
WZ「おまえに、俺とAのなにがわかんの？」
HS「……」
WZ「俺たちのこと、おまえ何も知らねえくせに…」
HS「でも、それならジフナだって俺たちの事知らないじゃん」
WZ「…は？」
HS「おまえは昔からそうだったよ。…都合の悪いことは知ろうとしない。見ようとしなかった」
俺たちの横を通り過ぎていく人通りも、その話し声も、まるで何も聞こえないかのようにスニョンの声だけがダイレクトに俺の耳に届く。座り込んでいるスニョンを邪魔そうに見る人も、俺にわざとぶつかってくる人も、今の俺には気にする余裕はなくて。
スニョンの言葉は、事実だから言い返せなかったのか、それとも腹が立ちすぎて言葉も出なかったのか。最早わからなかった。
「ちょっとスニョア！？」
その時、会計を終えたAが店から出てきて、座り込んでいるスニョンに驚いた顔をして駆け寄ると、大丈夫？と顔を覗き込んだ。
「転んだの？どこか擦りむいた？」
HS「あー…ううん、大丈夫。飲みすぎちゃったのかな」
「手見せて。血が出てる」
HS「大丈夫だって」
スニョンはAを見て悲しい顔をすると、そのままAの手を引いて抱きしめる。Aの背中と、スニョンの怒った顔と、その両方に立ち尽くすことしか出来ない俺。Aは驚いたようにスニョンの腕の中で声を上げて、気持ち悪いの？と言ったAの言葉に、スニョンは真っ直ぐに俺を見た。
HS「ううん、気持ち悪くないよ」
「じゃあ、」
HS「ただちょっと、苦しいだけ…」
「え？苦しいって…大丈夫？」
HS「…うん、もう大丈夫」
そう言ってスニョンは誤魔化すように笑うと、ふらつきながら立ち上がる。そんなスニョンをAが支えた。
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作者名：緋夏
| 作成日時：2020年3月27日 15時
