漆黒 ページ3
KAZUMA side
『 プレゼント…ですか。』
A「 そう、"彼"が昇進したお祝い。するのが、"普通の"彼女でしょ?」
『 はぁ…。』
_______ お嬢の言う、"普通"が俺にはよくわからないが、お嬢が言うのだから"普通"はそうなのだろう。
TA「 あぁ、"例の"彼氏すか?この状況で昇進できるんすね〜。日本の番犬も大したことないんじゃないすか?」
お嬢は、今回の仕事の為に、とある男の懐に入って内情を探ってくれている。日本の優秀な番犬も、ある程度の動きがわかれば我々の敵ではないと言うことだ。
A「 そう、今度昇進するらしいんだけど、プレゼントするなら何が良いのかなって。」
TA「 うーん、話聞く限り、そいつ相当お嬢のこと好きだし、何でも喜ぶんじゃないすか?」
A「 そういうもんなの?」
今もTAKAHIDEとプレゼントの話をしているが、俺は、お嬢の最近の変化はその"例の彼氏"の影響だと見ている。
確信はない。俺の勘だ。…当たってほしくない俺の勘。
A「 うーん、とりあえず家に置いとけるものか、身につけられるものか…まぁ何でもいっか。じゃ、お疲れ〜。」
YA 「 お嬢、もう帰るのか?」
A「 ここに居ても今日はやることないしね。」
帰るのも早くなった。以前はここがお嬢の家と化していたのに、今じゃその"彼"の家か、"その彼の彼女"を演じるのに使っている家に帰ることが増えた。
任務の為とは言え、ここまでする必要はない。必要以上に親身になることはないとボスも言っていたのだが…。
_______ 出会った頃から、お嬢は、この"黒い"組織には居ない人種だと感じていた。
何にでも染まる、そんな危うくも美しい存在だと思った。
だから俺たちが、黒に染める。…あの男の色に染められる前に。
『 どっちに帰るんだ?…送る。』
A「 あ、ありがとう。"私の家"までお願い。」
__お嬢は、うちにいてこそ輝きを放つ。
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作者名:m. | 作成日時:2022年11月17日 16時