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「無理無理無理、ちょっと…あの…」

「無理じゃねえって、跡部にギャーギャー言ってるあの女子達に紛れて待っときゃいいんだから」

「家で聞くから!大丈夫!」

「そう言う時はだいたいお前聞かねーだろ!」

「そっ…うだけど…」


放課後、テニスコートの前で2人は戦っていた。
まるで散歩に行きたくない犬と飼い主のよう。
岳人はAの手を引っ張って、コートに連れていこうとしているところであった。


「離して、お願い」

「いやだ」

「そんな意地にならないでよー!」

「お前もなってる!」


準備を終えた他のテニス部員が、2人を不思議に眺めながらもそのままコートに向かっていく。


「あ、日吉」

「…うそ、岳人くんのことだからそうやって騙そうとして」

「はあ?嘘じゃねえって、なあ」

「…そうですね」


Aの後ろから、今はできれば聞きたくなかった声が飛んでくる。
彼だ。Aは一気にガチガチになった首をなんとか回して振り向いた。


「ひっ……」

「何してるんですか、こんなところで」

「違うの、あの…………」

「…」


なんとか誤魔化そうとして必死に言葉を考えるが、驚くほど出てこない。
様子を伺うと、彼の顔は険しかった。
怖い。少しだけ。


「Aがなんでお前の嫁になったのか聞きに来たんだよ」

「なんで言うの!?」

「Aがすぐ言わねえから」

「…もー………」


Aはため息をついてから、顔を上げた。
彼の顔がさっきよりも険しさを増している気がして、口をつむぐ。


「…別に。親にそうしろと言われただけです」


声は、ワントーン低い。
そこから感じられる冷たさが心臓をなぞって、哀感を残して、消えていく。


「……日吉くん…」

「その為だけにこっちに来たんですか」

「……」

「練習に公私混同はしたくないので。先に帰っててください」


遠回しに、来るなと言われたようだった。
先程はじんわり感じた悲しさがはっきりと形になって、涙が出そうになる。


「…っ、うん、わかった……」


Aは小さく返事をして、足を帰路に向けた。



「…………」

「……おい、日吉…」

「………………………………最悪……」

「うわ、すんげー落ち込んでる」

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設定タグ:テニスの王子様 , 日吉若   
作品ジャンル:恋愛
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よっちゃんイカ(プロフ) - コメント失礼します!続きが気になりますぅ! (2021年10月15日 12時) (レス) @page36 id: bd5008a586 (このIDを非表示/違反報告)
一琳 - やっぱり好きだーー!いつ見てもすきだー、明日学年末テストだー、いやだー!『しつこいですよ。先輩』って小説書いてます!暇なら読んでください!(急な告知)(笑) (2020年2月27日 0時) (レス) id: d3ba7ac342 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 黒瀬さん» アア〜!!!ありがとうございます嬉しいです!!!私も好きです!(え!?)ありがとうございます! (2020年2月20日 7時) (レス) id: b107436f56 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - す、好きです〜〜!!!!(突然の告白)キュンキュン通り越してギュンギュンしてます…むり…体調に気をつけて、更新頑張ってください!! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 一琳さん» ありがとうございます!最高なんて言葉もったいないですが、嬉しすぎるので素直に大喜びしています!!!!!! (2020年2月14日 0時) (レス) id: b107436f56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し | 作成日時:2020年1月23日 2時

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