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「ただいま」

「おかえりなさい、Aちゃんいるわよ」

「…言われなくても分かってる」

「照れちゃってー!」


いつも通りを装っているつもりだが、嬉しいという感情が彼の顔には滲んでいた。
母には全てお見通しである。
部活終わりのはずなのに、いつもより軽い足を進めて
自分の部屋に荷物を置く。


「……」


自分の家に、好きな人がいる。
そう考えるだけでおかしくなりそうだが、若は静かに深呼吸をして彼女の部屋へ向かった。


「っお、わ!?おかえり!?」

「!……ただいま…帰りました」

「……部活、どうだった?」

「いつも通りですよ、別に。」

「そっか…」


ふすまを開けようとする前に、Aが先に部屋を出ようとしたらしい。
丁度鉢合わせになって、心臓が急に跳ね上がる。


「…うちの母、何もしませんでした?」

「あはは、何それ。とっても優しいし………」

「…?」

「あー……」

「…何かされたんです?」

「されたというか……若くんも、道連れ…みたいな…」

「?」


気まずそうなAを前に、若は1つピンと来た。
これは世にいう、嫁姑問題なのではないか。
大きな勘違いであるが、一気に心配になった若は彼女の両肩をガッと掴む。


「どっ、どうしたの」

「…何ですか」

「ん?」

「ちゃんと話してください、心配なので」

「……………」


真剣な表情、少し下がった眉。
秘密を作られたことが寂しい。そんな顔。
近くなった顔に、Aは一瞬胸をつつかれたような感覚に陥った。


「だっ…あ、いや、そんなね!?そんな大事なことじゃないっていうか、いや大事なのは大事なんだけど…………っ……見てもらった方が早い…かな……」

「見る?何をです」

「うーんと…」


あまり教えたくない事実だが、今日の夜にはどうせ判明することなのだ。早めに教えておいても良いかとAは諦めた。
こっち、と手招きをする彼女に若は着いていく。
さっき掴んだ時も感じたが、華奢な肩。それと、小さい背中。その上を流れる髪。
見慣れた後ろ姿。


「…………これ…」

「………!?」

「すいません……」


2つ、隙間なく並んだそれを見て若は固まった。

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設定タグ:テニスの王子様 , 日吉若   
作品ジャンル:恋愛
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よっちゃんイカ(プロフ) - コメント失礼します!続きが気になりますぅ! (2021年10月15日 12時) (レス) @page36 id: bd5008a586 (このIDを非表示/違反報告)
一琳 - やっぱり好きだーー!いつ見てもすきだー、明日学年末テストだー、いやだー!『しつこいですよ。先輩』って小説書いてます!暇なら読んでください!(急な告知)(笑) (2020年2月27日 0時) (レス) id: d3ba7ac342 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 黒瀬さん» アア〜!!!ありがとうございます嬉しいです!!!私も好きです!(え!?)ありがとうございます! (2020年2月20日 7時) (レス) id: b107436f56 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - す、好きです〜〜!!!!(突然の告白)キュンキュン通り越してギュンギュンしてます…むり…体調に気をつけて、更新頑張ってください!! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 一琳さん» ありがとうございます!最高なんて言葉もったいないですが、嬉しすぎるので素直に大喜びしています!!!!!! (2020年2月14日 0時) (レス) id: b107436f56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し | 作成日時:2020年1月23日 2時

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