モノクロ５＜ARS＞ (ページ7)

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「…、さ、としく、…」

やっと

やっと出た声は智くんの名前

だけど、うまく息ができないよ

歯の奥が、がちがち鳴ってて

震えが止まらない

智くんが急いで駆け寄ってきて

すぐにふわっと抱きしめてくれた

智「…どうしたの」

智くんの声がする

大丈夫

智くんは、生きてる

あったかい体温に安心して

息が、だんだんできるようになる

智「…なんかあったの？誰かになんかされた？」

声が出なくて、代わりに涙しか出ない

智「…お前ら？」

雅「ち、違うよ！」

潤「帰ったらこの状態だった」

まーくんと潤くんの声がうっすら聞こえた

智くんが私を抱えなおして、じっと見つめる

智「んー、智くんに話してAちゃん」

智くんの心臓の音が聞こえるように、ぎゅって抱きついた

一緒に智くんの力も強まる

「…、っ、さ、としくんが、…っ」

智「…ん？」

「死んじゃ、うドラマ見て…っ、ぅう」

智「怖かった？」

こくこく頷いたら、ぽんぽんって背中を叩いてくれた

智「…ここにいるよ、だいじょーぶ」

「ほんと…？」

智「本当だよ、Aちゃん」

「…、ごめ、んなさい」

智「なにが？」

「迷惑かけちゃった…から…」

すると、智くんが私を見下ろして、ふにゃんって微笑んだ

智「Aが俺の名前呼んでくれて嬉しかった…って思うのはダメ？」

「嬉しい…？」

智「Aを抱っこすんのは、智くんだけでいいでしょ？」

“だからね、俺だけのAちゃんみたいで嬉しいの”

って、きゅんきゅんするようなコトを耳元で囁かれたら、急にドキドキしてきた

私の頭ごとぎゅうって抱きしめた智くんは、大丈夫って言いながら頭を撫でてくれて

安心して目を閉じて体を預けた

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だから、知らない

他の４人がどんな顔をしてたか知らないの

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