モノクロ５＜ARS＞ (ページ22)

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領『A、なんでそんなに泣いてるの』

『…領…？』

領『僕といるのがそんなに辛い？』

『…ちが…』

領『そうだよね。Aは浮気したんだから』

『…っ』

領『許さないよ、A』

『ごめんなさ…』

領『もう、終わりだね』

「…っ！やだっ…！！」

布団から思わず飛び上がった

肩で息をしている自分

すごい汗

震えてる体

「…っ、夢…」

ぶるぶるって寒気がした

エアコンつけっぱなしだ

ふと時計を見たら、どちらかというとお昼に近い時間になってた

「…やばいっ」

朝ごはんも、洗濯も洗いものだって、何もやってない

どうしよう、寝過ごした

急いで着替えて、リビングに行くと、智くんと和くんが仲良くテレビを見てた

翔くんがいなくて、少しほっとしてる自分がいる

智「…んん？お、A、おはよー」

和「んふ、お寝坊さん」

「…おはようございます」

２人の声にびくり、と足が後ずさる

だめだ、普通にしないと

だけど、怖い

なるべく、近くにいかないように

怪しまれないように…

和「Aー？今日の夕飯、ハンバーグ！チーズがいい！」

智「ええ…俺は刺身がいい」

今思えば、和くんのキスだって、智くんと一緒に寝たことだって

浮気だよ、立派な

許されるものなんかじゃない

和「…A？聞いてる？」

「…！あ！はい、ハンバーグと刺身ですね？」

智「バラバラの夕飯？」

「あ…えっと…」

どうしよう、耳に入ってこない

領の言葉が頭から離れない

領に会わなきゃ

会いたい…

そう思った時、パリーンって音がした

自分の手からコップが落ちたなんてすぐわからなかった

智「Aっ！？」

和「つーか…顔色悪いな。夏バテ？」

駆け寄ってきた２人が、割れたコップを見て、あちゃーって笑った

和「これ、拾っとくから、休んでて？」

「…大丈夫です」

いちいち動揺しちゃだめだって

もっと、普通にしないと

「いっ……つ」

鋭い痛みが走る

ぷくり、と赤い玉が指にできてて

ガラス…切っちゃったんだ

智「もー、だからやんなくていいって言ったのに」

和「指、見せて？消毒しないと…」

そう言って和くんの手が触れた瞬間

「…っ、やだ！」

思いきり、手を払ってしまった

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