モノクロ５＜ARS＞ (ページ20)

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「…はぁっ…、…？…え？」

翔「俺さ、Aのこと好きなんだ」

抱きしめられてるから、顔が見えないよ

翔くんが…？

なんで？

翔「くっついたり、キスマークつけたり、キスしたりするのは、全部…」

あったかい体温が離れて、翔くんが私を真剣に見つめた

翔「Aが好きだから」

正直、頭の中がパニック状態

なんて返せばいいの？

領がいるから、ごめんなさいって？

あ…口がカラカラだ

全然言葉が出てこない

翔「Aさぁ、鈍感すぎるんだもん。ここまで鈍感だと呆れる」

は、って短く息を吐く翔くんを見つめると、ん？って優しく見つめ返された

翔「俺の勘が当たったんだよね。彼氏が今までいないってこと」

どういうこと…？

翔くんがそんな私の手を繋いで、クスクス笑った

…ふりほどけないよ

翔「今までに彼氏がいないってことは、男性経験ゼロ。つまり、浮気の境界線がどこかわかっちゃいない。例を挙げるなら俺らがセクハラって訴えられるようなことしても、Aは嫌がらないでしょ」

「…」

翔「だって、俺らが他の女のとこ行ったら困るからね。その思いが心のどっかにあるから、Aの中に浮気なんて言葉の存在自体なかったわけだ」

「…」

翔「浮気の行為って気づかないまんま、うまく俺のもんにしようと思ったんだけどなぁ…失敗(笑)」

“でも”って翔くんは続ける

翔「簡単にフラれんのもやだしさ、まだ出会って５ヶ月でしょ？俺のこともっと知ってほしい」

「…、…」

翔「それに、先生以外の男を知らないなんて、損だと思うなぁ。もっといい男いるかもしれないのに」

そんなことない

だって、領は最高の恋人だから

だから…

翔「先生だってAと同じように浮気してるかもよ？」

翔くんの言葉は人を揺さぶる

ぐらり、ぐらりと静かに

じわり、毒がまわる

愚かなことに、誰も気づかないの

それが、もう手遅れだってことに

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