モノクロ２＜ARS＞ (ページ9)

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ふわっとした匂いがした

最近覚えた

和くんの匂い

和「･･･(笑)まだ起きてたの」

「膝枕いりませんか？」

和「･･･ほしい」

タオルで頭をわしゃわしゃやりながら

こっちに歩いてくる和くん

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和「A」

「･･･？はい･･･？」

和「ちょっと、電気消すよ」

ぱって電気が消えた

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和「ね、すごいでしょ(笑)」

窓側が

月に照らされて

幻想的な色になって

そこに立った和くんが微笑んだ

儚くて消えてしまいそうな

そんな微笑み

和「ふふ、ここで膝枕してくんない？」

惹きよせられるように

和くんの傍に行った

なにか言葉を発したら

壊れそうなくらいに

繊細で綺麗で怖い空間

しばらくして

膝の上の彼が呟いた

和「…ね、前みたいにやって」

「前…？」

和「…ん、頭撫でてくれたやつ」

“気持ちよかったんだ”

っていいこいいこを待つわんこみたいに目を閉じて

髪の毛を優しく撫でたら

ふわりと目が合った

「…、和くんの欲しいものってなんですか？」

見つめられるのが耐えきれなくて

窓の外を見ながら

小さい声で聞いてみる

和「…ああ、誕生日か」

目を伏せた彼の長い睫毛が揺れてる

揺れて止まって

瞳の中に私を映した

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和「A」

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掠れた声

そんな声で私のこと呼ばないで

和「…Aがほしいな」

そう言って

ごろんと寝返りを打つと

気持ちよさそうに寝てしまった

思わず止まった髪の毛を撫でてた手を

もう一度動かそうとして

「寝惚けないでよね…」

なんて

声が震えてることに気づきたくなくて

ぺちんとすべすべな頬を叩いといた

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