モノクロ２＜ARS＞ (ページ22)

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６２【N side】ページ22

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「…っ、さいてー…」

我に返ったら

涙声の彼女がそう言って

ベランダを飛び出してった

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…あーあ、やっちゃった

やらかした

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いつもなら誕生日なんてどーでもよかった

ケーキ？

プレゼント？

はいはい、どーも手間かけさせてごめんなさいね

って感じ

どーやってこのお祝いムードを抜け出すか

それしか考えずになんとかやってきて

女からのプレゼントだって断固拒否

モノが増えるだけだし

そんな思い出押しつけられてもこっちが困る

どうせ捨てなきゃならないんだから

そんなの最初からお断りー

そのはずだった

でも今年は

自分でも気持ち悪いくらい浮かれてる

なにこれ、すごくおかしい

理由はあの子しか考えられない

そうなったら自分との戦いだからね

抑えられるか打ち負かされるか

全面戦争勃発してんのよ(笑)

んで、さっき、完全敗北したってわけ

なにこれ、俺かっこ悪い

俺のために全力で尽くしてくれて

俺のためにプレゼントまで用意してくれて

可愛すぎんだろって思ったら

胸が苦しくて泣きそうで

思わずそのくちびるを重ねてた

幸いみんな寝てたし

足蹴りしても起きないから

…この隙に仲直りしねぇと

和くんの心がもたないのよAちゃん

酒の缶を飲み干すと

散乱してる机の上に置いて

Aの部屋に行くことにした

あいつらが起きてたとしても多分ここまでは聞こえない

柄になくドキドキしながら声をかける

和「…A？」

ずずずってドアにもたれかかって座ってみる

和「ごめん」

「……ぅ、」

涙声で一生懸命なんか言おうとしてるのが微かに聞こえる

そーいうのも愛しい

和「…ん？」

「よ、酔ってたんですよね…？」

ナニソレ

この子バカなんだか頭いいんだかわかんない

和「酔ってないよ」

「…っ、酔ってたもん…」

要するに酔ってたからっていう間違いにしたいんでしょ？

残念

俺全然酔ってないよ

むしろ酔えねぇよ

「…うぅ…」

俺にキスされてこんなに悲しみに暮れる女初めて見た

正直傷つくよ？

だけどさ

和「言ったでしょ俺」

その気のしれない心が欲しい

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