不器用な君。 ◇Jun.M◆ (ページ28)

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２８、完敗ページ28

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潤『もしもし』

「…っ、もしもし」

スマホから聞こえる潤くんの声に、慌てて返す

相葉先輩は、溜息をついて、少しだけ腕の力を弱めてくれた

けど

…腕を離してくれないと、困るんだけどな…

潤『あとどれくらいで終わりそう？』

「あ…えっと、…」

先輩が口パクで、“もう終わる”って笑った

「も、もう終わるよっ」

潤『じゃー、迎えに行く。どこにいるの？』

「会議室…で、す」

潤『ん、わかった』

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この時ね

ばいばい、って言おうとしたの

またあとでね、って笑おうとしたの

なんで、私ってこんなにタイミング悪いんだろう

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斎『松本くん、電話？』

どくん、って胸が鳴る

…なんで、斎藤さんと一緒なの？

潤『おー、そう』

斎『じゃあ、行ってるね？』

潤『ん』

電話越しの潤くんの声は、とっても優しくて

あぁ…完敗だなぁって思った

私なんかが、潤くんと付き合ってるのがそもそもの間違い

きっと、斎藤さんと潤くんのカップルは有名になるだろうし

困ってる、なんて潤くんが言うこともない

こんな惨めな思いしてたって、潤くんのこと好きだったのに…

どうしてうまくいかないんだろうね

潤『じゃ、あとで』

「…っ、まって」

潤『ん？』

涙が、溢れて

相葉先輩の制服に、ぽとんって落ちた

雅「…Aちゃん？」

相葉先輩が、泣いてる私を見て怒った顔をする

雅「だから言ったのに」

「きゃ…」

持ってたスマホを落としそうになるくらい、ぎゅうって抱きしめられて

熱くなる顔と反比例して心が泣きはじめた

潤『は？なに、誰？』

私が呼び止めた理由はただ一つ

もう、ピリオドを打とう

もう、解放されよう？

潤くんも…

私も…

「今までありがとう」

潤『…は？』

「私たち別れよう」

この、“バイバイ”は今言うつもりなかったのにな

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