ヤンデレ探偵社員から逃げませう【文スト】

病み14 ページ14

長い長い夢を見ていた。

心地よくて、ずっとそばにいたい。そんな風に思えるような。

まるで社長の……諭吉さんのお膝の上みたいな…。


｢……｣

ﾊﾟﾁﾘと目を開けると、そこは牢獄のようなところであった。

所々血がついている…『ああいう』ことをする場所だったのだろうか。


まだ眠い目を擦ろうと、腕を動かしてみるも、
自由には動かない。


｢…手錠か。｣

怖い。

慣れてしまった自分が恐ろしくてたまらない。


｢好きなら、好きと、純粋な心を持てばいいのに。｣

ﾎﾟﾂﾘの出た言葉は木霊してまた私の元に…








｢そんな綺麗なモン、やってられっかよ。｣


帰ってくることはなかった。


帽子がトレードマークの小さなソレは悲しそうな顔でそっと呟いた。

｢…人間ってのはな、欲があんだよ。手前もそれは知ってるだろ。食欲、色欲…その他諸々…

俺らはその中の独占欲が強いってだけだ。

好きだからこそ独り占めしたい。誰にも渡したくねぇ。

そこで、俺は考えたんだ。｣


ソレは私の唇に自分の指を持っていき、こう告げた。


｢手前のハジメテを奪えば、俺だけのモンだよな。独占欲の強い俺なりの愛し方だ。｣


私の頬をするりとなでる骨ばった手

今から何をするのか私でも分かる。

怖くて逃げてしまいたい。


｢…そ、そんな考え、普通じゃ…ない！！！！｣


｢褒め言葉だ。好きなやつのハジメテを貰えて何が悪い。

好きだと気持ちを向けられてるのに応えようとしねぇ、手前が何倍もひでぇよ。｣


理不尽。

その一言に尽きる。



何が『応える』よ。


気持ち悪くて反吐が出る。



｢手錠は解かなくても…出来るよな。｣

ﾆﾔﾘと笑うソレは





私の服に手をかけた。

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