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木村 side
『…はっ！！、、』
奨「…ん〜…、起きちゃった？」
『よな、さん……』
奨「大丈夫大丈夫。」
この家に来てからも、俺は悪夢を見続けた。
あの時見た血の海、無惨な妹と母親の姿がどうしても忘れられなくて、目を瞑ると動悸と共にあの記憶が呼び起こされる。
そんな落ち着かない俺のそばに、ずっとよなさんは居てくれた。
蓮「柾哉起きちゃったかな、ホットミルク作ってくるけん、待っとって。」
そう言ってくれてから、すぐにマグカップを持って来てくれる蓮くん。
その日は夜が明けるまでそばに居てくれた。
この家に来る前は、早く寝なさい、寝たら良くなる、そればっかりだったのに、ここでは無理に寝かせようとしない。
だからこそ、安心するといつの間にか寝てしまっていることが多かった。
よなさんの大きな手で頭を撫でてもらうことが、すごく嬉しかった。
今でも、過去を思い出すと過呼吸になりそうになる。だから、よなさんも蓮くんも、話そうとしないし、無理に聞き出そうとしない。
俺の後に来た子供たちは誰も俺の過去を知らないし、何故か聞いてこようともしない。
まぁ、聞かれても言うつもりはないけれど。
きっと、俺より後に来た職員の、景瑚くんも、くみさんも、俺のことを知ってると思うけど、誰も話そうとはしない。
その環境がとてつもなく居心地がいいんだよね。
そんな俺も、気づいたらここの最年長で、下が沢山増えていた。
それからの話はまた今度でいっか。
俺はね、ここが大好きなんだよね。
fin
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作者名：ぽぽまる | 作成日時：2024年3月29日 0時
