恋 ページ3
炭治郎side
Aから常に悲しいような、寂しいような、そんなにおいがするから、
「最近、何かあったのか？」
と、Aに聞いてみるが、
『？な、なにもないよ！大丈夫！』
いつもこう、はぐらかされる。
「...そうか」
「(においで嘘って分かってるぞ)」
Aは言いたくないみたいだし、無理に問うような真似はしたくない。
でも、この質問をした時、すこし、すこしだけ。
「(Aからなにかを乞うようなにおいがするんだ)」
だけど、すぐにそのにおいは消えて、
『炭治郎、あれ見て』
『月が見えるよ』
儚げな表情でAは空に浮かぶ昼の月を指でさす。
「本当だ。善逸と伊之助にも見せてやりたいな」
『....っ.....そうだね』
俺は知ってるよ。
《善逸》という単語を出すと、決まって辛そうなにおいをさせる事も。
善逸と付き合っていて、上手くいっていないのも。
「Aはそのままが1番素敵だと思うよ」
褒めると、なにかに期待したにおいをさせるのも。
『そ、そうかな』
『で、でも！私なんて、魅力的の''み''の字も無いような芋女だよっ？！そんな言葉...』
『もったいないよ』
言い慣れているみたいに、すっとその言葉が出てくることだって。
「(俺の方が、きっと知ってる)」
「(俺の方が、Aを愛せる)」
そんな子供じみた
「...最低だ」
『？何か言った？』
「いや、そろそろ目的地に着くぞ」
『うん！気を引き締めなきゃっ！！』
Aは頬を叩いて任務に備える。
「こらこら、せっかく美人なんだから、そんなに顔を叩くものじゃない」
『えへへ...』
あぁ、本当に。
「(美人だ)」
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作者名：せきとのおへや | 作成日時：2020年10月27日 2時
